伊勢孝夫氏「阪神V逸のA級戦犯は藤浪、掛布二軍監督退任も大損失」

2017年09月21日 16時30分

ベンチ前で渋い表情の金本監督

【伊勢孝夫 新IDアナライザー】阪神が今年最後の本拠地・甲子園での「伝統の一戦」20日の巨人戦に0―2と零封負け。天敵・菅野の前に打線が今季ワーストタイの2安打と沈黙した。こんな調子では先が思いやられるが、その前に12年連続で優勝を逃した現実を見逃すわけにはいかない。本紙評論家の伊勢孝夫氏が、今回のV逸の原因から来季に向けた補強、そしてファンの間で今も物議をかもしている掛布二軍監督の電撃退任劇にも言及した。

 阪神はここまでよく戦ってはいる。今の貯金数(13=20日現在)を考えると優勝してもおかしくない数字だし、広島との戦力差が激しいことを考えるとV逸と騒ぎ立てることもないのかもしれない。

 ただ、広島を上回れなかった、優勝できなかった理由を考えれば、一番は藤浪の不振だ。

 普通に投げてくれれば15勝は計算できる投手がわずか3勝(5敗)。その差である12勝があったらと切実に思う。大誤算でまさにA級戦犯。精神的な問題があったとしても、首脳陣で何とかできなかったのか。野手では遊撃手で北條を1年間固定できなかったこと。昨季、我慢して使っただけにここがハマればよかったが、うまくいかなかった。捕手も含め、要のポジションが固定できないとやはり苦しい。

 来年優勝するためには、補強が必要だ。一番の補強ポイントは左の先発投手。左の1番手の能見が全盛期ほどの投球が期待できない状況では明らかに手薄。ドラフトで穴が埋まるのか。広島・ジョンソン級の外国人を探し当てられるのか。出血覚悟でトレードを画策するのか。金本監督も広島の攻撃力を封じる投手力構築に頭を悩ませているようだが、ならばなおのこと。広島打線は田中、丸、松山、安部、西川とレギュラークラスに左打者が並ぶ。封じるにはやはり右腕よりも左腕が効果的だ。

 野手は1年間固定できる強打の外国人が欲しいだろうが、投手を探し当てるよりも難しい。野手の場合はいかに現有戦力の底上げを図れるかになる。そうなると、ファームも含めた組織としての育成力がモノをいう。この点を考えると、来年の阪神には大きな不安がある。掛布二軍監督が今季限りで退くからだ。

 指導者経験のある私から見ても、この2年間の掛布監督の功績は計り知れない。GM付育成&打撃コーディネーター時代から目をかけてきた中谷を育て上げ、新人の大山にも基礎を叩き込み、くすぶっていた上本やスイッチに転向して飛躍している大和など中堅を再生させた。二軍から一軍に上がってくる選手が必ずと言っていいほど『おっ、コイツ、この前とだいぶ変わってるな』という変化が掛布監督の指導を受けた選手にはあった。今回の経緯は指導法の違いなど想像するしかないが、一軍の金本監督と二軍の掛布監督、タイプが異なって結構ではないか。タイプが違うから、金本監督に聞けないことを掛布監督に聞くことができるし、その逆もある。選手の中で引き出しが増えたのに、それを…。間にいたフロントは何を考えてるのかと言いたい。

 いずれにしても今回、掛布監督がユニホームを脱ぐことは阪神にとって大きな損失。金本政権3年目に大きな影を落とさないかと気にしている。 (本紙評論家)