余韻に浸っている暇はない。16日に2年ぶりのリーグ制覇を決めたソフトバンクが、17日の西武戦(メットライフドーム)に“フルメンバー”で臨んだ。プロ野球新記録の51セーブを挙げている守護神サファテこそ休養が与えられ、ひと足先に福岡へと戻ったが、工藤公康監督(54)は「23日の楽天戦(ヤフオクドーム)から、また投げてもらう」と明言。一時的な“リフレッシュ休暇”であることを強調した。

 中村晃、柳田、デスパイネ、松田の中軸に今宮や明石まで、スタメンには前日と同じメンバーが名を連ねた。所用のため優勝決定試合に来られなかった孫オーナーが、この日は球場の貴賓席からナインを見守ったから手綱を緩めなかったわけではない。潤沢な資金力で圧倒的な戦力を整えたチームに課せられた使命は、あくまで日本一奪回だ。

 工藤監督は「若い選手を出すのもCSの準備。僕自身、消化試合はないと思っている」と言ってはばからない。選手にも「目標は日本一」との方針は浸透しており、先発の千賀滉大投手(24)は前夜のビールかけも冒頭だけ参加して退席。テレビ各局から生出演の依頼もあったが、午後1時開始のデーゲームを考慮して断った。

 野手陣も同様だ。選手たちによる祝勝会は福岡に戻った後、月末に行う。試合は延長10回にモイネロがつかまってサヨナラ負けしたが、球団関係者によれば「昨夜は選手同士で食事くらいは行ったけど、二日酔いの選手は、ほとんどいなかった」。

 千賀は白星こそ挙げられなかったが、6回1失点の粘投で規定投球回数に到達。勝率8割1分3厘(13勝3敗)はリーグ1位、防御率2・20も同2位で、悲願のタイトルが視界に入ってきた。体の芯から美酒に酔いしれるのはCSを突破し、日本シリーズに勝ってからだ。