4番がVアーチで試合を決めた。17試合ぶりの一発となる逆転の30号2ランを放ったのが柳田悠岐外野手(28)だ。
 前半戦を3冠王ターンすると、後半戦は故障離脱した内川に代わり4番の重責を果たすなど活躍した。その要因にギータ流新打撃論があった。

 ここまで打率3割1分1厘(リーグ2位)、30本塁打(同3位)、98打点(同1位)。リーグトップの出塁率も含めて、パ打撃部門のすべてで上位の成績を残している。まさに快進撃のシーズンとなったが、そんな柳田は7月ごろに好調の理由を自らこう分析していた。

「今年、僕の中で調子の良さを測るバロメーターは『空振り三振があること』なんです。それは当てにいく打撃をせず、自分のバッティングを貫けている“証し”だから」

 多くの打者と同様に、柳田も以前は三振へのマイナスイメージを強く持っていた。昨季まで「自分に対する一番のダメ出しは三振が多いこと。やっぱり三振だけはしたくないんで、もっと少なくしたい」とも語っていた。だが「当てにいって凡打になって打撃が崩れるより、三振の方がいい」というのが、7年目にたどり着いた境地だった。

 今季ここまでの三振数は自己ワーストペースの120。終盤は満身創痍の中で当たりが止まるなど苦しんだが「三振OK」のフルスイングが、堂々の好成績につながった。