若手の台頭も目立ったソフトバンクの中で脅威の強肩でブレークしたのが育成出身の甲斐拓也捕手(24)だ。そんな若き正妻候補はシーズン佳境に“リアル格付けチェック扱い”を受けていた。

 今季は千賀、東浜ら若手投手の女房役として活躍。7月19日の西武戦(北九州)での1試合2本塁打をはじめ意外性の打撃でもチームに貢献した。しかし、8月に入ると一本もヒットが出なくなった。

 そんなある日、選手ロッカーにある甲斐のリクライニングチェアが何者かによって撤去され、新聞紙が敷かれていた。“犯人”はムードメーカーの川島だった。甲斐はバスタオルを地面に敷いて座っていたという。

 とはいえ、そんな日々もピリオドが打たれた。8月26日のロッテ戦(ヤフオク)で31打席ぶりのヒットが出た。これでパイプ椅子に“昇格”。9月に入り次のヒットを打ったことで、ようやく元のリクライニングチェアに戻った。

 川島は「そりゃ一本も打ってなかったら、座っちゃダメでしょ」とニヤリ。もちろん、悩み過ぎないようにという、愛のイジリであることは言うまでもない。「あいつは(一軍で)1年目ですから。悩んだりするのは仕方ない」と話した。

 昨季までの一軍出場数は通算で15試合しかなかった。そんな若手捕手が周囲のサポートに支えられながらも立派に優勝まで戦い抜いた。