15勝の菅野 オフの“銭闘”も完勝モード

2017年09月09日 14時00分

視線の先に見えるのは沢村賞か

 巨人の気になるエースの評価は――。8日のヤクルト戦(東京ドーム)は、菅野智之投手(27)が6安打1失点完投で、チームを4―1の勝利に導いた。自己最多を更新する今季15勝目を挙げ、自身初の沢村賞も視野に入れた。圧巻の成績に加え、あの同僚投手のトラブルもあり、苦戦続きだったオフの戦いでも完全勝利を収めそうだ。

 エースの責任で最後までマウンドに立った。この日も菅野は、8回までほぼ危なげない内容で無失点。9回無死一、三塁から併殺打の間に1点を失い、1996年の斎藤雅樹(現投手コーチ)以来のシーズン4完封こそ逃したものの、それもご愛嬌だ。お立ち台では「チームが勝てたので良かった」とさわやかな笑みを浮かべた。

 ヤクルト打線は前夜、DeNA相手に11得点。相手の勢いを止めて明日以降にバトンをつなぎ、ブルペンの負担を減らす役目も背負った。「明日は畠が投げる。ここまでは順調にきていると思いますが、何があるか分からない。中継ぎ陣も前のカードで相当投げて疲れていると思っていましたから」とサラリと語った右腕について、由伸監督は「最初から最後まで、菅野らしい、いつも通りの投球」と手放しで絶賛した。

 今季の菅野はここまで勝利数(15勝)、防御率(1・69)、投球回(165回1/3)、完投数(5試合)いずれもリーグ単独トップ。奪三振数(155)、勝率(7割5分)も沢村賞の選考条件をクリアしている。チームとしてCSを目指す戦いは続いているが、投手として最高の栄誉にも着実に近づいている。

 そんな右腕も毎年オフの“銭闘”だけは苦戦を強いられてきたが、今年に限ってはどうやら完勝ムードだ。文句なしの成績もさることながら、あの山口俊の暴行トラブルも、菅野にとって追い風となりそうだという。

 山口俊を巡ってはFA当時、獲得条件について「3年総額6億円超」と言われていた。ところが今回球団が下した減俸処分により、今季は少なくとも2億5000万円以上の年俸を手にしていた計算に。3年総額では約10億円の大型契約だった可能性も出てきた。対して菅野の今季年俸は、推定2億3000万円。多少のズレはあっても、山口俊の金額を下回る。

 契約更改後の菅野は「しっかり評価してもらった」と話したが、それはチーム投手最高の評価を得たから出た言葉だったはずだ。球団関係者は「山口俊の条件に関しては、球団内でも『菅野だけには知らせるな』という話になっていた」と明かす。ただ想定外のトラブルにより、菅野の知るところとなってしまった。

「菅野が交渉で山口俊の条件を叩き台として示してきた場合、球団側も今回ばかりは降参するしかないでしょう。仮に倍増を要求されても、のむしかないんじゃないか」(前出の関係者)

 エースの奮闘で3位DeNAと1差に接近し、2位阪神とは5・5差。「優勝は現実的に難しいが、阪神とは6試合残っている。照準を切り替えて2位、CSを目指していく」と力強く宣言した菅野。オフの“大一番”を前に、まずはチームを上位浮上へ導く。

関連タグ: