<中日4-0巨人(6日)>中日・大野雄大投手(28)が巨人打線を手玉に取った。許した安打はわずか「2」。昨年6月28日の巨人戦以来、約1年2か月ぶりの完封劇で今季6勝目を挙げた。森監督は「(7投手をつぎ込んで延長11回にサヨナラ負けした)昨日の後だけに投手が1人で投げ切ってくれれば、それに越したことないなと思っていたけど、よく完封してくれました」と目を細めた。

 好投の裏に喜怒哀楽の封印がある。これまでの大野は三振を奪ったり、抑えたときは笑みをこぼし、その逆のときは落胆するなどマウンド上でも気持ちをストレートに出していた。5回5失点で7敗目を喫した前回登板の8月30日のDeNA戦(ナゴヤドーム)では際どいコースへの投球が何度もボール判定となり、露骨にいらだったり、思わずガクッとズッコケたりもした。それをこの日の巨人戦ではやめていたのだ。

「(表情に)出してなかったでしょ! 意識して投げました。そういうところにエネルギーを使うんじゃなくて、切り替えをしっかりマウンド上でやろうと。弱さを見せずに平然を装う投手になろうと思ったんです」と大野は明かす。それがうまくいった。「ソロ本塁打はオーケーだと思っていた。強い球をストライクゾーンめがけてどんどん投げて勝負できた」

 8連勝中だった巨人・田口に投げ勝ち、この“変身投球”にも手応えをつかんだ。今後も大野はマウンド上で「笑わない」「しょんぼりしない」「イライラしない」「ズッコケない」などを続けていくつもりだ。