橋本到よ見せてくれ!巨人に足りない「生え抜き物語」

2017年09月06日 11時00分

打撃練習で汗を流す橋本

【赤坂英一 赤ペン!!】8月30日の広島戦で、久しぶりに巨人・橋本到がヒーローになった。5―4とわずか1点リードの8回二死一、三塁で広島・一岡から右中間へ勝負を決定づけるタイムリー二塁打。試合後、ベンチ裏の囲みで本人に質問していたら「珍しく取材頑張ってますね」と、広報担当に冷やかされた。

 そりゃ、頑張りたくもなる。私が初めて小欄で橋本を取り上げたのは、彼が原前監督に初の開幕スタメンに抜てきされた2014年の4月16日付紙面。この年、最初の広島戦で実現した元同僚・一岡との初対決について書いているのだから。

 一岡は巨人時代、同い年の橋本と仲良しだったが、14年にFAで巨人入りした大竹の人的補償で広島へ移籍。この年の初対決では、一岡のフォークに橋本が空振り三振に打ち取られた。すぐにもリベンジしたいのではないかと聞くと、橋本は冷静にこう答えている。

「一岡は接戦か、広島がリードしているときの中継ぎでしょう。あいつが出てくるのはチーム的によくないこと。できれば対戦したくないですね」

 親子ほどトシの違う私から一本取った頭のよさとコメント力。この調子ならレギュラーも近いかと期待した。が、その後は打撃不振、左太腿の肉離れなどの故障で一軍と二軍を行ったり来たり。

 15年はDeNA戦で一軍昇格後すぐ初の3番に抜てきされ、2ランを含む3安打3打点と活躍しながら、このときも長続きせず。16年は75キロの体重を82キロまで増量したところ、これが原因で今度は右ふくらはぎを肉離れしてしまった。

「ぼく自身が、自分を今の立ち位置にしてしまいました。途中からの出場が多いですけど、代走でも守備でも、しっかりと結果を出していきたい。スタートから出ることもまだまだ諦めてません」

 久々に対決した一岡とは、もう連絡を取ることもなくなった。打席からマウンドに立つかつてのチームメートを見たときは「ああ、頑張ってるな、と思った」という。

 今の巨人に足りないのは、こういう生え抜きの若者の「物語」ではないか。松本や脇谷がどん底から一軍に復帰したときも、ファンは温かい拍手で迎えた。懸命に頑張る橋本の活躍に心揺さぶられたファンも少なくないはず。いまだ二、三軍でくすぶっている若者たちも、橋本に負けずにはい上がってくる「物語」を見せてほしい。