巨人の“赤ヘル流改革”は実を結ぶか。31日の広島戦(東京ドーム)は3―1で連勝を飾り、5月26日以来の貯金生活に復帰した。球団は7月中旬に投手コーチだった田畑一也氏(48)を広島専属スコアラーに配置転換したが、以降の対カープは4勝5敗と盛り返しの兆しも見える。そこで来季は他球団にも拡大し、セ5球団に担当スコアラーを置く新体制を発足。データ部門の強化を図るという。

 本拠地ラストの広島戦で、やられっぱなしだった巨人がなんとか意地を見せた。打線が少ないチャンスをものにして序盤に3点を奪うと、先発・田口が7回1失点の好投。8回からはマシソン、カミネロのリレーで逃げ切り、3位DeNAとの差を2・5に縮めた。
 前半戦から本拠地でどうにも勝てなかった広島に勝ち越せたことは、逆転CS進出を目指すチームの自信となる。由伸監督は「追いかけるほうなんで、勝っていかないと(上位との差が)縮まらないんでね」と冷静だったが、8月は15勝10敗で終え、2か月連続の月間勝ち越しを決めた。

 ただ今季の広島戦は2試合を残して7勝16敗の“借金9”と、すでに負け越しが決まっている。それでも7月中旬に前投手コーチの田畑氏が広島専属スコアラーに配置されてからは、4勝5敗と“善戦”。田畑スコアラーは「選手の調子がいいからですよ」と謙遜したが、首脳陣によると「以前より、データが細かくなった」という。

 専属007の配置効果が出ているかどうか判断するのは尚早だが「各スコアラーに責任を持たせることが必要」というのは鹿取義隆GM(60)の新方針だ。巨人のスコアラー陣は「複数の目で見たほうが、より客観的なデータを得られる」とし、いわゆる「ローテ制」を敷いてきたが、来季は各球団に専属を置く「担当制」に完全移行する。

 セ・リーグで担当制を敷くのは中日だけという時期もあったが、近年は担当制がトレンド。また試合中にも現在のチーム付ではなく、各担当スコアラーをベンチ入りさせることも検討しているという。「例えば広島の場合、試合中は担当スコアラーが緒方監督の横に張り付いて求めに応じてデータを耳打ちしている。スコアラーからすれば重圧は半端じゃないし、作業量も膨大になるが、より緊張感を持ってデータを集めてほしいというのが鹿取さんの狙いでしょう」(チームスタッフ)

 本拠地で広島に勝ち越し、試合後は「良かったです。これが次につながってくれれば」と安堵の表情を浮かべた鹿取GM。CS進出への戦いは続くが、その裏では来季に向けた反攻準備も着々と進めている。