「清原超え」広陵・中村 本当のプロの評価

2017年08月24日 11時00分

大会新記録となる6号を放った中村

 今秋のドラフトの目玉はこの男か——。第99回全国高校野球選手権大会決勝が23日に行われ、注目の中村奨成捕手(3年)擁する注目の広陵(広島)は花咲徳栄(埼玉)に4—14と敗れ、初優勝はならなかった。注目の中村は、本塁打こそ出なかったが、5打数3安打で、1986年に水口栄二氏(松山商)が記録した1大会個人最多安打記録「19」に並んだ。

 中村は22日の準決勝・天理(奈良)戦で2本塁打を含む5打数4安打7打点1四球の大暴れで、PL学園・清原和博がマークした5本の大会本塁打記録を更新した。

「清原超え」のみならず、大会通算で最多塁打(43塁打)と最多打点(17打点)の新記録まで打ち立てた。甲子園の球史にその名を残した教え子に中井監督は「とにかく運動能力がすごい。“野生児”です」と評した。

 準決勝では捕手としての能力の高さも見せた。5回、無死一、三塁のピンチでは相手打者の小飛球となったスクイズを飛びついて好捕し、三塁に送球して併殺を完成させた。守備でも随所に好プレーを見せており、二塁送球で最速1・74秒を誇る強肩ぶりを発揮している。おまけに走塁でも塁に出れば、難なく走れる俊足とあってまさに鬼に金棒。ネット裏に陣取った国内プロ球団のスカウトたちをうならせ、あっという間に今秋のドラフト1位候補へと急浮上しているのも当然だろう。

 国内だけでなく「NAKAMURA」の名は海の向こう側にまで伝わり始めている。米メジャーリーグの複数球団が早々と中村を「金の卵」としてチェックしているからだ。ア・リーグ西地区の球団スカウトは中村について「無駄のないフォームから狙い球や相手の失投を逃さず、ワンチャンスで確実に仕留める能力がある。ミスショットも非常に少ない。アマチュアでそういう力をすでに身につけているプレーヤーは米国でもレアな存在だ。捕手としてもまだ多少の粗さは残るが、運動能力は高校生としてハイレベルと断言できる」と非常に高い評価を与えた。そして「もし可能ならば、すぐにでも欲しい逸材」と力を込めた。

 中村は夏の甲子園大会終了後「第28回WBSC U—18ベースボールワールドカップ」(9月1日〜、カナダ・サンダーベイ)に参加する。この場がメジャー各球団スカウトたちが当地を視察に訪れる「国際見本市」ともなり、これまで日本代表では早実・清宮幸太郎内野手(3年)が最注目株と見られていたが、中村の大ブレークで状況が変わってきた。

 前出のスカウトはこうも続ける。「極東担当の間からはキヨミヤよりもナカムラという声も出ているほど。甲子園にスカウトを派遣していない一部球団の担当者たちもインターネットの動画を見て彼の能力の高さにほれ、実際に自分の目で確かめたいと口を揃えている。まだ線が細いにもかかわらずアグレッシブなプレーができることを考えれば、成長次第でバスター・ポージー(30=ジャイアンツの正捕手)に匹敵するようなスーパープレーヤーになれる」とまで太鼓判だ。

 ポージーといえば、捕手としてゴールドグラブ賞、打者としても首位打者、シルバースラッガー賞にも輝いている名選手。メジャーからここまで高く評価される高校生も珍しい。今後、進学せずにプロの道を選ぶことになりそうだが、今秋ドラフトを前にメジャーの動きが何らかの波紋を呼ぶかもしれない。

 

関連タグ: