<広島5―3阪神(16日)>広島が阪神に5―3で競り勝ち、4連勝で優勝マジックを「26」とした。

 先発の大瀬良大地(26)は6回途中2失点で8勝目をマークしたが、2回に阪神先発・藤浪から左肩付近に死球を受けた際の対応が「神対応」としてネット裏の評論家から絶賛された。

 藤浪といえば制球難で二軍調整となり、この日が復帰登板。その藤浪が投手にぶつけたとあって「またか」と球場は騒然となったが…。死球を受けた大瀬良は左腕を押さえてしゃがみ込むも、すぐさま笑顔で藤浪に向かって「大丈夫」と言うと、大きくうなずいてみせたのだ。

 本紙評論家の得津高宏氏は「あの場面であの行動はなかなかできません。普通なら『ふざけるな!』となるところですが、投手への死球はトラウマとなり、藤浪の投手生命に影響する可能性もあった。大瀬良は投手だからこそ、藤浪の気持ちが分かったのでしょう。大したものだし、褒めてあげたい。藤浪も大瀬良の気持ちに応えるためにも、制球難を克服して大投手にならなきゃいけない。敵味方を超え、同じ野球人としての思いを感じさせる感動もののプレーでした」と称賛した。

 試合後の大瀬良は「(死球は)生まれて初めてだったので痛かった。カットボールが抜けたのかなと思う。わざとじゃないと分かっていたし『大丈夫、大丈夫』と(藤浪に)声をかけた。(その後の投球で左の)腕が上がらないのは言い訳にはならない」と、最後まで6回途中で降板したことを死球のせいにはしなかった。

 人間、とっさの場面で本性が出ると言われるが、常日頃からマスコミ対応などで“いい人ぶり”が知られる大瀬良は、正真正銘、筋金入りの「いい人」だったようだ。