巨人の阿部慎之助内野手(38)が13日の広島戦(マツダ)で、9回一死で迎えた第4打席、相手守護神・今村から右前打を放ち、史上49人目、チーム生え抜きでは川上哲治、長嶋茂雄、王貞治、柴田勲に次ぐ5人目のプロ野球通算2000安打を達成した。その瞬間、カープファンで真っ赤に染まったスタンドが大歓声に包まれた。背番号10の通算2000安打にはG党も鯉党も関係ない。阿部が一塁に達すると割れんばかりの拍手が送られ、高橋由伸監督(42)だけでなく広島ベンチも祝福。敵地が「慎之助コール」一色に包まれた。「目標にもできるような選手じゃなかった」と喜びをかみしめる阿部が、プロ17年の足跡を振り返った。

 ――記録を達成した今の率直な思いは

 阿部:たぶん皆さん、(達成は)東京になるんじゃないかと思っていたと思うんですけれど、打ててホッとしています。

 ――史上49人目の記録

 阿部:正直、打てると本当に思っていなかったですし、目標にもできるような選手じゃなかったと自分で自覚していますし、打ててしまったな、というのが今の正直な気持ちです。

 ――400本塁打も視野に入る(現在386本)。次の目標は

 阿部:400号も近いというのは知っていますし、次は2500本を目指してやっていきたいなと思います。

 ――体は満身創痍。野球へのモチベーションをどう保ってきたか

 阿部:とにかく野球が好きだから。こういう年になったら、飽きたら辞めるだろうしね。

 ――捕手経験はどう打撃に生かしてきたか

 阿部:配球の読みだったりとか、自分の中での割り切りができたんではないかと思う。“キャッチャー阿部慎之助”でずっとやってこれたのが、打つ方にもつながって、打ってこれたんではないかと思う。

 ――捕手への未練は

 阿部:ないですよ。好きな野球ができているし。(捕手を)できていれば良かっただろうけど…。続けていれば、辞めていたかもしれないしね。

 ――足跡を振り返って思い浮かぶ顔は

 阿部:一番最初に原さんが推薦してくれて、長嶋さんが僕を使ってくれて。それがやっぱりスタートだったんで。それがなかったら今もないと思うし。そこはもう原さんだったり、長嶋さんだったり。死ぬまで頭上がらない思い。感謝しています。

 ――若手時代の記憶

 阿部:当時の記憶か…。人間不信に陥った1年だったな。(マスコミの)皆さんにたたかれて。だから俺、しゃべらないでしょ、あんまり。まだやっぱり抜けないんだよね。仲の良い記者とご飯に行って、飲んで騒いで、次の日俺をぶったたいているっていうね。そこから信用できなくなって。それでもいろんな各社にぶったたかれ…。だから、今の小林とかいいなあって思って見ている。(マスコミも)優しいと思う。あいつを成長させたいならもっとぶったたいた方がいい。

 ――近年は故障も多く抱えた。故障でこれは大変だと思った時は

 阿部:やっぱり首をやったときですかね。(腕に)しびれも結構出てきた時はあった。これはまずいな、と思いましたね。極端に言うと、毎日寝違えている感じでした。

 ――2000安打を経て、この先の野球人生をどう考えている

 阿部:通過点にしたいといえば、通過点にしたい。それで辞めるのを考えるのも、なんかなあと思うし。(ロッテの)井口さんが43歳になる年までできたから、僕もそれを次の目標にしようかなとか。まあ、巨人がすごい有望な若手を取ったら辞めます。(今は)心配で辞められないというのはありますね。大丈夫かな、みたいな。こんなに“ゆとり世代”がいっぱいで、大丈夫かなってね。