巨人が6日の中日戦(東京ドーム)に、4―5で敗れた。2000安打まであと6と迫った阿部慎之助内野手(38)は、この日は4タコに終わったが、そんな背番号10の“来季”がにわかに注目されている。

 8日からの阪神戦(東京ドーム)での記録達成に期待が高まっているが、たいがいは記録達成の後から出場機会が激減、徐々に“引退への花道”が作られていくパターンが多い。ただ、チーム内では「阿部がそういった流れを簡単に受け入れないのではないか」の声が上がっている。

 というのも阿部は、これまで本紙評論家・前田幸長氏に「2000本を打って終わるつもりはない」と明言。さらに「2100本までいかないで、そのへんで辞めてしまう人が多いけど、僕はそうなりたくない。当面の目標としては2300本ぐらい打ちたい」とも語っており、出場機会の減少→引退という流れにあらがう姿勢を見せている。

 しかし、6月に就任した鹿取GMの“使命”は、若手育成を加速させ、過渡期となったチームの世代交代を推し進めることにある。そういった面を考えると、大きな節目をクリアした阿部に、今季同様の出場機会を来季も与える保証はない。

 そんな中、必要となってくるのが阿部への“心のケア”を含めた、由伸監督のマネジメント能力だ。球界関係者の一人は「広島の新井も、昨年4番に座り、MVPまで取りながら、今季は途中出場や代打に徹している。この起用を文句一つ言わず受け入れたのは、新井の温和な性格もあるが、首脳陣がしっかり対話を重ねた結果でもある」と、功労者、ベテランにいかに配慮できるかといった点が、今後の由伸監督の課題となるという。

 現段階で阿部の座を脅かすような若手は見当たらないが…。節目の大記録を達成した後の阿部の処遇はどうなっていくのか。気になるところだ。