中日・岩瀬仁紀投手(42)が4日の巨人戦(東京ドーム)で通算登板試合数を949とし、阪急、阪神、近鉄で活躍した米田哲也のプロ野球記録に並んだ。今季45試合目の登板で到達した。同点で迎えた9回、二死一、二塁の土壇場でマウンドに立ち、満塁のピンチになりながらも巨人の追撃をストップ。延長10回の勝ち越しにつなげ、記念試合を自らの白星(3勝目)で飾った。前人未到の1000試合登板も期待されるレジェンド左腕。しかしその発言を巡り、チーム内では…。

 記録達成に岩瀬は「自分ではピンとこない。よくここまで投げれたなと思う。去年、一昨年と投げれていなかったので喜びもひとしお。(今日は)大ピンチでしたけど開き直って投げた。押し出しだけはやめようと思った。一瞬、節目に弱いのかな、と思ったけど、気持ちを入れ直して一発勝負のつもりで投げた。記録のことはシーズンが終わってから振り返ればいいと思っている。6月はよかったけど7月に成績が落ちたので、もう1回、8月は気合を入れて頑張りたい」とすがすがしい表情で汗を拭った。

 球界最年長のレジェンド左腕に新たな勲章が加わったが、一方で岩瀬はかねてこうも口にしていた。「次の目標? ないです。1000試合(登板)とか、そういったことは考えてない。今年にかける、この1年にかける思いだけでやっている」。さらに来季以降の去就について「自分でも分からない。現時点では何も考えていないというのが答えです。だから来年やるのか、やらないのかのも正直、何も考えていない」と引退の可能性があることもほのめかしている。

 この発言にチーム内は動揺しきりだ。今季は6月に月間MVPに輝くなど復活したが、逆にいい形でユニホームを脱げるとも解釈できるため、チーム関係者は「球界最年長なのにまだまだ進化している。チームの精神的支柱。引退なんかされたら大打撃になる。何としても残ってもらわないといけない」と訴える。

 ナインも早速、岩瀬に対して現役続行を求めている。右腕・又吉は「岩瀬さんは自分に持ってない経験だったり、技術だったり、すべてを持っておられる。そのおかげで昨年、一昨年からずっと学んで野球ができている。あれだけ経験された方の話はなかなか聞けない。今後も岩瀬さんにベッタリで学んでいろんな話を聞いて自分のものにしたい」と熱望する。

 投手陣だけではなく、野手陣もそう。福田が「配球のことでいろいろ投手目線で話をしてもらえる。試合前や試合中のロッカーにいるときにいろいろ教えてもらえる。さっきの打席はこうだったなとかいろいろ気にかけてくれて、うれしい。来季以降も一緒にやりたいです」と話せば、大島も「あれだけ実績のある方が後ろにいて発言力もあるし、若い子にはいい手本になる。野手と投手では違う部分はあるけど、あれだけ長くやられてることで、いろいろ勉強になる部分があるし、話を聞くだけじゃなくて見てても勉強になる。身近にいるだけで全然違う。現役は行ける限りやってもらいたいです」と声を大にした。

 岩瀬の進退に関して球団は本人の意思を最大限に尊重する構え。前人未到の1000試合登板はもちろん、まだまだ一緒にプレーしたいとのナインの熱い思いはレジェンド左腕にどう響くか――。