巨人は2日のヤクルト戦(神宮)に10―4で大勝し、開幕以来の5連勝を飾った。2試合連続2桁得点で借金返済まであと2つ。由伸監督は「取られた後に取り返したり、向こうにペースをあげないいい得点の仕方ができた」と目尻を下げた。

 3試合連続の2桁安打と絶好調な打線の流れに乗り、小林誠司捕手(28)もマルチ安打をマークし、1割台をさまよっていた打率がついに今季初の2割超え(2割2厘)を果たした。試合後にはナインから「小林さん、打率2割で~す」などとイジられ「まだまだこれからです」と気を引き締めた。

 ただ、今後の立ち位置には不透明感もある。小林が先発マスクをかぶったのは今季95試合中89試合。数字上は正捕手ながら課題の打撃がネックとなり、首脳陣からレギュラーの確約は得られていない。ファームでは2年目・宇佐見が小林の座をうかがう中、育成から支配下選手へ引き上げた3年目・田中にかける球団の期待も大きい。

 チームスタッフは「誠司(小林)はまだ一軍の舞台に立っていない貴也(田中)をライバルと思っていないでしょうけど、この夏以降は分からない。チーム状況や貴也のファームの結果もあるが、支配下になったからには首脳陣も一度は使いたいところでしょう」と明かす。しかも、ひそかに田中の“仰天起用法”も温められているという。

「チームには、広島に4勝13敗と大きく負け越している原因が小林のリード面にあるという意見もある。広島サイドに小林の配球の傾向やクセを見抜かれているのかもしれない。その点、貴也のデータはないに等しいはず。広島戦に大抜てきされる可能性がゼロとは言えない」(別のスタッフ)

 村田善バッテリーコーチは「今年は集中力が(試合の)最後まで途切れず、ミスも減った。パスボールもない。あとは失点しても取り返せる打撃、(最終的には)勝てる捕手になること」と小林の成長と課題を挙げた。

“真の正捕手”への道のりは決して平坦ではなさそうだ。