2位の阪神が2日の首位・広島戦(マツダ)で4―3の逆転勝ち。負ければ自力V消滅となる勝負の一戦で逆転の殊勲打を放ったのが愛称“パンダ”のジェイソン・ロジャース内野手(29)だ。見事、チームの窮地を救ったが、そのしたたかな頭脳には驚嘆の声が上がっている。

 1点を追う9回一死満塁の場面で守護神・今村から逆転の2点適時打。土壇場での値千金の一打にロジャースは「もう1打席回ってくればいい仕事ができる自信があった。みんなが回してくれていい仕事ができてよかった」と満面の笑み。勝負強さを発揮した助っ人に金本監督も「選球眼がいいし、学習できる。うちの他の打者にも見習ってほしいね」と最敬礼だ。

 頼もしい限りの新助っ人は、明晰な頭脳でも周囲を驚かせている。「マイナーで一度だけ対戦していた(ヤクルトの)ギルメットのことをしっかりと覚えていて『そのときと同じように、今回もスライダーで勝負してくると思っていて狙っていたんだ』と言っていた。たった一度の対戦で投手の持ち球や軌道が頭に入っているのはさすが。記憶力がすごい」(チーム関係者)。実際、7月21日のヤクルト戦(神宮)の7回には記憶力をフル稼働し、ギルメットから適時打を放った。

 さらに評価を高めているのが最終打席の成績だ。ここまで10打数8安打と驚異の打率8割。この数字についてロジャースは「どの打席も集中しているけど(最終打席は)より集中力が高まっているのかな」と謙遜するが、球団幹部は「学生時代、アメフットでクオーターバックをやっていただけあって分析力は高い。それが打席のなかの修正にも生かされている。今後、他球団から研究されても対応してくれるだろう」とうなる。

 球団営業部も「外国人選手のグッズは苦戦する傾向にあるが『パンダ』というキャラがあって結果も出している。徐々に人気も出てきているのでグッズも作っていく」と異例のパンダ商品の発売も検討中。今後もロジャースは得意の記憶力を駆使し“IDパンダ”として打ちまくる。