巨人のルイス・クルーズ内野手(33)が金銭トレードでパ・リーグ首位の楽天へ移籍することが決まり26日、両球団から発表された。巨人では外国人枠の兼ね合いもあり出場機会が激減。センターラインを強化したい楽天との思惑が一致した格好だが、シーズン中の助っ人の“放出”はダブつく戦力の大胆整備の始まりとの見方が出ている。

 クルーズは今季が2年契約最終年。その契約を満了する前に移籍に至ったのはチーム事情が大きく影響した。野手では新加入のマギーがコンスタントに結果を残し、投手陣では先発のマイコラス、ブルペンを支えるマシソンとカミネロも不可欠な戦力とあって、外国人の一軍4枠はこの4人で占められた。

 今季のクルーズは歴史的大連敗中のチームの起爆剤として、カミネロに代わって6月2日に初昇格したが、9試合の出場で打率1割5分6厘、0本塁打、3打点と結果を残せず、二軍落ちとなった。その後も再昇格するタイミングはなく、現場では「“塩漬け状態”だけどしょうがない。不満もあるかもしれないが、正直なところ使う場所がない」と言われていた。

 そんな鹿取GM体制となって初めて成立したトレードについて球団内では「今後の戦力整備のスタートになるのではないか?」と見る向きがある。

 球団スタッフの一人は「クルーズだけでなく二軍、三軍には一軍の戦力になり切れていない高額年俸の選手がまだまだいる。前監督(原氏)の時代に獲得した選手を含め、ポジションがかぶったり戦力がかなりダブついている。鹿取GMに託されたひとつの仕事が、そうした戦力を大幅に整理する、というのも十分あり得る。今回の一件は、単なる“序章”かもしれない」と指摘した。

 だが、そんな中で臨んだ広島戦(京セラドーム)は、クルーズと同じ二塁を守るマギーが7回に二塁打を放った際の走塁で左太もも裏を痛め、途中交代するなどで2―7の敗戦。早くも広島戦の今季負け越しが決定した。

 試合後、由伸監督はマギーの状態について「どうなんですかね。あの場はちょっと無理だったので代えました」と語るにとどめ「打っているバッターなので長期離脱されるのは困るんですけどね…」と心配そうな表情。当のマギーは「一塁を蹴って、二塁に向かった時に(左足が)つっただけ。(明日は)大丈夫だと思う」と軽症を強調したが…。

 一方のクルーズは、新天地でいきなりタイムリーを放ってお立ち台の活躍を見せただけに、巨人にとっては何とも間の悪い一日となってしまった。