巨人が25日の広島戦(岐阜)に1―2で惜敗した。終盤で二塁手・マギーの守乱も響いたが、それ以上に深刻だったのは打線の低調ぶりだ。序盤の先制機を逃し、6イニング連続無安打となるなど沈黙。打線は水ものとも言われるが、火力アップへの起爆剤としてチーム内からは背番号24による“由伸野球教室”の開催が切望されている。

 序盤からつまずいた。0―0の初回に一死一、三塁のチャンスをつくるも阿部が空振り三振に倒れ、一走の坂本が二盗に失敗して併殺。2回も一死二塁としながら後続が凡退し、3回から8回までヒットすら出ず、9回に坂本の適時打で1点を返すのがやっとだった。

 また、0―0の8回の守備ではマギーが本職ではない二塁で2度の記録に残らないミスを犯して失点につながったが、リスクを承知で攻撃重視のオーダーを組んでいる以上、ベンチも目をつぶらざるを得ない。

 試合後の由伸監督もマギーの守備を「しょうがない」と責めることはなく「先にチャンスがあったんでね。そこで何とか先制したかった」と元気のない打線に奮起を促した。

 これで広島との対戦成績は3勝12敗となり、10試合を残して早くも今季の負け越しに“王手”。上位進出を目指すには攻撃力アップが欠かせないとあって、ナインから待望論が出ているのが指揮官直々の打撃指導だ。普段は担当コーチへの配慮からか、由伸監督が積極的に指導に乗り出すことはないが、例外だったのがマギーだった。

 開幕から好調だったマギーは6月17日の打率3割2分4厘を境に下降線をたどり、2日にはとうとう3割を割り込んだ。そこで腰を上げたのが由伸監督。マギーを初めてスタメンから外した4日の広島戦(マツダ)の試合前、身ぶり手ぶりを交えて付きっきりで助言を送った。その効果はテキメンで、9日からスタメン復帰すると19日の中日戦(ナゴヤドーム)で一発を含む5安打をマークするなど打率は上昇カーブを描いた。上体が突っ込むクセを修正されたマギーは「監督だろうとコーチだろうといい打者のアドバイスはありがたい」と元天才打者に感謝しきりだった。

 ただ、助っ人やベテランにとっては指揮官に助言も求めやすいが、中堅以下の選手にとっては「雲の上の存在」。中には村田真ヘッドコーチを介し、まるで“伝言ゲーム”のように由伸監督と打撃論を交わす選手もいる。そのためナインからは「情けない話かもしれないですけど、監督が『こうした方がいいかな』と思った選手がいれば、ぜひどんどん言葉をかけてほしいんです。監督に言われれば、やっぱりそれだけ刺激にもなります」との声が出ている。

 由伸監督の“個別レッスン”は今後も開かれるのか、注目だ。