巨人・山口俊投手(30)の泥酔暴行疑惑が波紋を広げている。酒に酔い、男性警備員を負傷させるなどの疑いが生じたFA右腕は球団の指示によって練習を自粛。事実上“謹慎”の身となった。騒動発覚から一夜明けた19日、現場にはピリピリムードが漂ったが、チームは中日戦(ナゴヤドーム)に6―5で逃げ切り勝ち。そんな中、長嶋茂雄終身名誉監督(81)が苦言を呈する異例の展開を見せている。

 山口俊は30歳の誕生日だった11日未明、飲食店で右手甲を負傷し、酔った状態で向かった都内の病院で扉を壊し、男性警備員にケガを負わせた疑惑が浮上した。球団の発表から一夜明け、東京・大手町の球団事務所に表立った動きはなかった。渦中の山口俊は前日のうちに遠征先の名古屋を離れ、現在は球団の指示で野球活動を停止。この日、出場選手登録も抹消されたが、周囲は騒がしくなるばかりだ。

 とんだトラブルで上昇ムードに水を差されたチームはこの日の試合前からピリピリムード。ナインは山口俊に関する質問を「ノーコメント」とシャットアウトし、選手の一人は「球団にも(山口俊については)しゃべるなと言われている」と一様に固く口を閉ざした。

 そんな中、この日、東京ドームで行われた都市対抗野球を観戦した長嶋氏が口を開いた。報道陣から山口俊について話を振られるとこう答えた。

「巨人軍の選手たるもの、ああいうことをしてはいけない。何があったか分からないが、まずいこと」

 騒動の詳細は調査中で不透明な部分もあり「細かいことは聞いていない」としたが、長嶋氏がここまでバッサリやることも珍しい。腹に据えかねたことは想像に難くなく、巨人の象徴でもある長嶋氏が放った言葉が持つ意味は重い。

 一方、試合は周囲の喧騒を振り払うかのように序盤から打線が爆発した。初回から阿部の犠飛、陽岱鋼の3号3ランで4点を先制。4試合連続で「2番・二塁」で先発出場したマギーは、一発を含む自身初の5安打、2打点と大暴れした。

 投げては先発のドラフト2位ルーキー右腕・畠が8回途中7安打2失点の好投。9回に守護神・カミネロが3失点して1点差まで詰め寄られたが、何とか逃げ切った。プロ初勝利を飾った畠は「今までケガして、ここまで来るのが長かったんですけど、初勝利できてうれしいです。(8回、9回は)絶対に抑えてくれると信じて応援してました」と笑顔だった。

 4カード連続の勝ち越しを決めた由伸監督は「よく投げてくれたと思う。これだけ投げてくれたので、次も投げると思う」と畠をたたえた。

 このまま山口俊ショックを振り払っていきたいところだが…。長嶋氏の一喝を他のナインも再び肝に銘じ、一丸となってやるしかない。