2位の阪神が19日の広島戦(甲子園)に3―14と惨敗。後半戦開幕カード負け越しで首位の広島とのゲーム差は今季最大の9となり、3位のDeNAには0・5差にまで迫られた。本紙評論家の伊勢孝夫氏は完全に力負けとなった今回の広島3連戦を徹底分析。敗因を探るとともに、今後の虎の進むべき道を緊急提言した。

【伊勢孝夫「新IDアナライザー」】中継ぎ陣が打ち込まれ最終的には大差が付いたが、6回の継投策が勝負を分けた。この回、金本監督は好投していたルーキー・小野が一死から3連打を浴びて1点差に迫られ、なおも左打者・松山を迎えたところで交代を決断。左投手の高橋を送り出した。しかし、ここは小野で押すべき場面だった。慎重を期したのだろうが、小野は前の2打席で完璧に松山を抑えていた。結局、高橋は四球でピンチを広げて降板。典型的な継投ミスだ。

 金本監督は左打者には左投手をぶつけたがる傾向があるが、状況をみてリリーフ起用を決める必要がある。また、桑原への負担も大きくなっていることも気掛かり。この試合もあったが、回またぎなどは必要最小限とし、大事に起用すべきだ。

 打線については“打順変更”を提案する。試合後、金本監督は選手を集めて緊急ミーティングを行い「まだまだ絶対にファイティングポーズは崩さない。向かっていくだけだ」と話したようだが、糸井を欠き、新人ながら頼もしかった糸原までもが負傷離脱となれば打線として厳しい状況といわざるを得ない。ただ、新加入のロジャースにメドが立ったという収穫もある。そこで私が推すのが「3番・鳥谷」だ。ここ2戦は糸井の代わりにロジャースを3番に据えているが、これでは機動力を生かすことはできない。

 確かに打順を変えることで調子落ちしてしまう恐れはある。ただ、今季完全復活し、2000安打が間近に迫った鳥谷には心配無用だろう。何よりチームの窮地だからこそ鳥谷本人も3番起用を意気に感じ、力を発揮してくれるはず。広島には9ゲーム差とされたが、シーズンはまだ長い。広島との差を詰めるためにも、最善を尽くしてほしい。