不安要素は一掃だ。広島が前日までの7試合で1勝6敗、5連敗中と相性の悪かった甲子園で阪神を9―5で下した。2回一死満塁から石原慶幸捕手(37)の中前に落ちる適時打で先制し、その後も二死満塁から田中広輔内野手(28)と菊池涼介内野手(27)の連続2点二塁打で一気に5点を奪った。先発全員の12安打で打ち勝ち、緒方孝市監督(48)も「2回にいい攻撃ができた。ラッキーな先制タイムリーに二死から1、2番が打ってくれた」と目を細めた。

 リーグで唯一負け越しているのが阪神で、5月6日の甲子園での対戦では9点差をひっくり返されて屈辱の大逆転負け。首位を独走しているとはいえ、油断したら何が起こるか分からないのが勝負の世界。現役時代の1996年に最大11・5ゲーム差をつけた長嶋巨人に優勝をさらわれた経験のある緒方監督は、9―0の8回に先発の大瀬良大地(26)が2四球が絡んだ一死満塁のピンチで押し出し死球を与えると8点リードながら勝ちパターンの中崎翔太(24)を投入。9―3の9回にもジャクソン(29)が四球や暴投などの独り相撲で一死二、三塁から2点を失うと守護神・今村猛(26)をつぎ込んだ。

 指揮官は「誰しもがそうでしょ」と5月6日の悪夢が頭をよぎっていたことを明かしたが、執念の采配で阪神戦の対戦成績を6勝7敗とした。ベンチ内も「甲子園の連敗が止まったのは大きい」(田中)、「9点差ゲームの払拭ができた」(石井打撃コーチ)とひと安心の様子で、2年連続の完全Vも現実味を帯びてきた。