「マイナビオールスターゲーム2017」第1戦が14日、ナゴヤドームで行われ、全パが全セに6―2で逆転勝ちした。華やかな舞台の裏側では、侍ジャパンの新監督就任が濃厚となった稲葉篤紀氏(44)に選手たちの注目が集った。

 2020年東京五輪を戦う侍ジャパン監督就任が濃厚となっている稲葉氏が、テレビ解説のためナゴヤドームを訪れた。

 放送開始ギリギリの午後5時45分過ぎに放送ブースに姿を見せた稲葉氏は、待ち受けた報道陣の質問に「ゴメンナサイ」と3回繰り返した。

 そのまま解説を務めた稲葉氏は、試合後「代表監督についてですが?」との質問に「ボクから話せることは何もないので」。出演した「報道ステーション」の番組の中でも「今、ボクの口からは何も答えることができない」と繰り返した。

 そんな稲葉氏は今年のWBCで小久保ジャパンの打撃コーチを務め、日本のベスト4に貢献。すでに次期監督候補として一本化され、今月末に侍強化委員会から正式に発表される予定となっている。

 監督経験がなく、采配面で不安視する声もあるものの、稲葉氏の代表監督就任を誰よりも願っているのがDeNA・筒香嘉智外野手(25)ら現場の選手たちだという。

 全セ4番の筒香はこの日、1点を追う4回一死で全パ2番手・菊池(西武)の初球146キロの高め直球を逆方向の左翼スタンドに叩き込んだ。

 筒香は昨年の球宴でも2戦連続で本塁打を放っており、2001年の松井(巨人)、中村紀(近鉄)以来、6人目7度目となる球宴3戦連続弾を達成。「(逆方向は)シーズン中はまったく打っていなかったのでシーズンで打っておきたかった。(同学年の菊池は)高校のときから知っている投手なのでうれしい」と満面の笑みを見せた。

 前半戦、思うように成績が上がらなかった筒香をよみがえらせたのが稲葉氏だった。6月23日のヤクルト戦(神宮)で、稲葉氏が筒香にタイミングの取り方をアドバイスしたところ…。「新しい感覚」(筒香)とその試合で7号3ランを含む猛打賞の活躍を見せると、25日から3戦連続弾を放つなど復活した。

 侍関係者は「WBC期間中、絶不調だった中田翔が稲葉コーチのアドバイスで復活した。筒香はその様子を目の前で見て稲葉コーチを信頼するようになった」という。

 これまで日本ハムのスポーツ・コミュニティー・オフィサーの肩書を持つ稲葉氏に、他球団の選手が話を聞くには遠慮があった。だが侍監督となればシーズン中でもアドバイスを求めることができる。稲葉氏の代表監督就任は、選手たちにとっては大歓迎のようだ。