ゴタゴタはもうごめんということか――。巨人は5日の広島戦(マツダ)に5―0で快勝。2試合連続の零封勝ちで、対広島戦今季初の3連戦勝ち越しを決めた。中4日登板のエース・菅野が6回無失点に封じ、坂本と長野の主軸コンビが、2人で計4安打4打点を叩き出した。やられっぱなしだったこれまでと何が変わったのか。舞台裏では、ある“不穏情報”が、Gナインを突き動かしていた。

 なりふり構わず、目の前の白星を奪い取った。先発の菅野は自身2年ぶりの中4日登板。球数を抑えながら、どこまで投げ切れるかが鍵だった。エースが82球で6回無失点と期待に応えると、打線は主軸が存在感を示した。1点リードの7回に主将・坂本の2点適時二塁打で加点し、9回には長野の4号2ランでダメ押しに成功。7回からマシソン、西村とつなぎ、最終回は惜しげもなく守護神カミネロを投入。相手に反撃の隙を与えず、全力で勝ち切った。

 1勝10敗という屈辱的な対戦成績で迎えた今回の広島3連戦。長い9連戦を度外視してでもベンチが優先したのは、広島を倒し、チームとしての自信を取り戻すことだった。初戦に防御率1位の田口を立て、2戦目に批判覚悟で中4日で菅野をぶつけたのも意地の表れ。連勝にも由伸監督の頬は緩まなかったが「昨日も厳しい試合で、今日も同じように投手が頑張って試合を取れた」と結果には満足そうだった。

 敵地での連勝はチーム全体がプライドをかけて臨んだ結果といえるが、原動力はもう一つあった。4連敗で迎えた今回の広島戦前、選手間では「今回も負け越せば、また何かが起きるかもしれない」という不穏な情報がにわかに流れていたのだ。

 交流戦中に起きたGM交代劇にチームは大揺れとなった。表面上、その後の動きは落ち着いているが、選手や首脳陣の動揺は完全に収まっていない。加えて、遠征先の敵地にもかかわらず球団トップの石井新社長が姿を見せたことが「なぜ社長が…」と現場の危機感をあおり“何かが起きる説”に拍車をかけていた。

 一部選手間では首脳陣のテコ入れに肯定的な意見も根強いものの、現場の本音は「これ以上、球団の都合に振り回されたくない」というのが大半。落ち着いて後半戦に臨みたいとの思いが、最強カープ撃破の力ともなっていた。