2位・阪神が5日の3位・DeNA戦(横浜)に1―4で敗れた。連勝は2で止まり、DeNAにとうとう1ゲーム差にまで迫られた。首位・広島と2強ムードだったのが、あっという間の3位転落危機。金本知憲監督(49)は若手に猛ゲキを飛ばし奮起を促しているが、当の選手たちがそれに応えられないジレンマに陥っているという。

 7回途中まで投げたDeNAのドラフト1位新人・浜口に対し、2回に梅野の犠飛で奪った1点のみ。毎回のように走者を出しながらもあと一本が出なかった。3試合連続で「5番・一塁」でスタメン起用された阪神のドラ1ルーキー・大山は3打席音なし。糸井、福留連続ストレート四球での5回無死一、二塁の好機ではツーボールからの3球目を空振りし、続く4球目で投ゴロ併殺打に倒れた。金本監督は「(5回の大山には)ベンチが待てのサインを出せばよかったんだろうけど、あんまり制限してもというのがあったし、思い切っていってほしいというのもあった。使っている以上はこっちが責任を持たないと」と金の卵をかばったが、手痛いシーンだった。

 もっとも大山より深刻なのが他の若虎たちだ。「6番・中堅」で先発出場した高山は4打数1安打ながら5回二死二塁では遊飛。6回に代打出場の原口も結果を出せなかった。唯一、途中出場の中谷が安打を放ったくらいだ。この状況に、ある球団関係者は「金本監督の言葉に萎縮してしまっている」と心配そうに話す。

 高山らがなかなか殻を破り切れないとあって最近の指揮官は「チャンスは死ぬほどあげた。これから先は自分で結果を出して這い上がってこい」「高山もピンチやぞ。あいつ分かっているのかな…」「ここまで野手でよくやったなというのは誰もいない。ゼロですよ。これからはもっとチャンスがなくなる」と辛辣な言葉で尻を叩いている。

 しかし、この“愛のムチ”が今のところ不発。「若手の中には結果を出せなければ、すぐに二軍行きになるんじゃないかという危機感が出てきた。ただ、それがプラスではなくマイナスに働いていて打席で本来のスイングができなくなってしまっている。一人前になるには、このプレッシャーに勝たないといけないんだが…」(球団関係者)

 金本ゲキにビビってしまっている形の若虎たちだが、チーム浮上のためにその成長は不可欠。何としてもこの試練を乗り越えなければならない。