広島ナインを鼓舞した石井打撃コーチの激言

2017年07月05日 11時00分

5月6日の阪神戦で負け投手になった薮田

【赤坂英一 赤ペン!!】首位を走る広島が2位阪神との差をジリジリと広げつつある。交流戦を勝率1位で乗り切ると、リーグ公式戦再開後最初のカード、阪神との直接対決に2連勝して弾みがついた。逆転勝ちが26試合で打線のしぶとさ、勝負強さもここにきて一層際立っている。

 

 その裏側で、石井打撃コーチはどのような言葉で選手を鼓舞していたのか。交流戦最後のソフトバンク3連戦の前、意外にも彼はこう言った。

 

「今日は試合前、阪神に9点差をひっくり返された試合(5月6日)の話をします。あの悔しさを忘れるな、もし阪神が優勝したら、あの試合が大きかったと言われるんだ、と。だから、そんなことを言われないようにしよう。逆に、カープがあの逆転負けをきっかけに巻き返したと言われるようなシーズンにするんだと、そういう話です」

 

 もちろんソフトバンクの投手のビデオを見せ、攻め方や狙い球の指示もする。が、それ以上に、「気持ちで負けないことが大事だから」と言ったのだ。どうやら、このときから交流戦直後の阪神戦を見据えていたらしい。

 

 石井コーチは、単なる思いつきで「5・6」を口にしたわけではない。かねて「あの逆転負けをウチの起爆剤にする」と話していたことは1か月以上前、5月24日付の小欄でも書いた通りだ。

 

 たかが1敗でも、されど1敗。長いシーズンにはチームの明暗を分ける負けがあることを、石井コーチは横浜(現DeNA)での現役時代に身をもって経験している。

 

 1997年、横浜は最下位だった4月から、7月には3位、8月には2位と徐々に浮上。首位ヤクルトを3・5ゲーム差まで追い上げながら、9月の直接対決でエースの石井一久にノーヒットノーランを食らって失速。11ゲーム差の2位に甘んじた。

 

 そんな痛恨の1敗を、石井コーチがこう振り返ったことがある。

 

「あのときの悔しさが、翌98年の優勝と日本一につながったんですよ。今でも98年の優勝は覚えてますけど、97年に2位に終わった悔しさも忘れられません。もう少しで優勝できたのに、直接対決でノーヒッターをやられたんですから」

 

 ちなみに、首位を独走中の広島も、対戦成績では阪神とDeNAにそれぞれ5勝6敗と負け越している。直接対決が重みを増す今後、石井コーチもまた気の抜けない日々が続く。