「プロ野球マイナビオールスターゲーム2017」の選手間投票の結果が29日に発表され、すでにファン投票で出場が決まった23選手に加え、巨人の阿部慎之助内野手(38)ら8選手が新たに選出された。阿部は右ヒザ痛で離脱中だが、7月1日のDeNA戦(東京ドーム)から一軍復帰する可能性が高まった。大黒柱の早期合流は巨人にとって朗報だが、由伸監督は即スタメン起用には慎重な構え。ただ、ライバル球団からは「阿部はベンチにいたほうが怖い」との声も上がっている。

 一軍が宇都宮入りした29日、阿部はジャイアンツ球場で若手らと精力的に汗を流した。現状については「いろんな普通の動きができるようになっている」と説明すると「いつ声かけてもらっても大丈夫なように、やることを増やして準備する」と早期復帰への意欲を示した。

 この日は、球宴の一塁手部門で選手間投票により選出されたことも発表された。球宴は通算13度目の出場。選手間投票では捕手として8度選ばれているが、一塁手としての選出は初となる。「聞いたときはびっくりした。一緒にやっている選手から選ばれるのは光栄で、うれしく思う」と語る阿部は「いいプレーを見せるのは当然だけど、楽しみたい」と胸を躍らせた。

 当初は前半戦の復帰も危ぶまれたが「今日の試合(29日のイースタン・ロッテ戦)にも出られるんじゃないか」と話すまでに回復。30日のイースタン・ヤクルト戦(ジャイアンツ球場)で実戦復帰し、7月1日のDeNA戦から一軍合流するメドが立った。

 宇都宮で阿部の状態について報告を受けた由伸監督は「なんとか最短で、と本人とも話していたしね」と昇格にゴーサイン。前日のヤクルト戦(福島)は打線が決め手を欠き、2点差で競り負けた。深刻な左打者不足もあり、阿部の早期復帰が待たれていた。

 ただ指揮官は「スタメンになるのか、代打になるのかは(二軍戦に)出てみないと分からない」と慎重に状態を見極める考え。実はそんな阿部について、ライバルからは「元気でもベンチに控えているほうが怖い」との声が上がっている。セ球団のあるスコアラーは「阿部の場合、無走者ならば四球や安打を打たれるのはOK。あの足では犠打で送れないし、タッチアップも無理。後続が3本打たないとホームまでかえってこられない。走者をためても“詰まる”から、意外に投手は楽なんです」と話す。

 一方、代打の場合は脅威だという。「セの抑えやセットアッパーは右投手がほとんど。競った試合の終盤、走者を出した途端に阿部が出てくるほど、守る側にとって嫌なことはないですよ。パワーもあるし、球を捉える技術は巨人の中でも抜群ですからね」(同)

 阿部の代役として一塁で出場している村田は、前日ヤクルト戦で3安打を放って気を吐いた。出場機会に飢えており、元来夏場に強い選手でもある。由伸監督も「(阿部がベンチにいれば)相手も考える」と、当面は切り札としての起用も念頭に置くが…。

 ジョーカーをいつ、どこで切るか。帰ってくる背番号10の働きどころが注目される。