中日・岩瀬仁紀投手(42)が魔球「ナックルボール」を復活させている。岩瀬は25日の巨人戦(東京ドーム)で8回から2番手で登板し、先頭の代打・山本をナックルで空振り三振に仕留めた。これまで大きく横に曲がる高速スライダーが伝家の宝刀だったが、今季はそれを封印。「最近は投げている」と涼しい顔で話すナックルで打者を幻惑している。もともと社会人時代から持ち球にしていたが、プロでは通用しないとみてほとんど投げておらず、今季から新魔球として本格的に復活させた。

 ナックルボーラーといえば、45歳で引退したウェイクフィールド(元レッドソックス)、現役のディッキー(42=ブレーブス)らが有名。日本でも小宮山悟(元ロッテ)がナックルに類似した「シェイク」を武器とし、2009年当時としては最年長記録(44歳21日)となるセーブを挙げるなど、一般的に遅い球速でも勝負できるナックルボーラーは長寿命として知られる。

 昨季、一時は引退を覚悟したほど、一年一年が勝負という岩瀬。それでも中日関係者は「実際、ナックルを武器にし始めたということは、まだまだ長くやろうという意欲の表れもあると思う。同学年の井口(ロッテ)が引退を表明して弱気にならなければいいと思ったけど、むしろその逆で燃えているのでは」と期待し、別の関係者も「ナックルで勝負できるようになれば45歳どころか山本昌のように50歳までだって現役でできるよ」と太鼓判を押すほど。現役最年長の岩瀬の進化が止まらない。