中日のドラフト1位・柳裕也投手(23)が18日の西武戦(ナゴヤドーム)7回3失点でプロ初勝利を挙げた。オープン戦期間に右ヒジを痛め出遅れただけに「うれしいです。ケガからのスタートだったので痛いところなく全力で腕を振れているのが一番だと思います」と喜びもひとしおだ。

 柳は過去2度の先発で連敗。その投球は直球が140キロそこそことあってOBからは「あれではプロじゃ通用しない」との厳しい声も出ていた。しかし、そんな声に猛反論していたのが同じ明大の大先輩である楽天の星野仙一副会長(70)だ。3日の楽天戦(ナゴヤドーム)で柳は6回4失点で負け投手となったが、ネット裏でその投球を見た闘将は「後輩だから言うんじゃない。あいつはやる。ハートが強い。それに頭がいい」と太鼓判を押していた。

 星野氏は現役時代の自分を“超二流”と評している。一流投手のような類まれな才能があったわけじゃない。それでも熱いハートと頭脳でチームのエースとして君臨した。超一流には負けるが、ただの一流には負けないという自負からだ。柳も「自分は150キロのボールがあって落として、という投手じゃない。いろんな球種を使って(けん制やフィールディングなど)トータルで勝負する投手」という。そんな柳に星野氏も自身の姿を重ねたのかもしれない。

 偉大なOBのそんな言葉に柳は「うれしいですね。祝勝会やキャンプでも気にかけてもらって。そのたびに“ケガはするな”と言われていたのにしてしまって申し訳ないです。改めてあいさつしたいです」と感激。ハートと頭で勝負する柳のプロ人生がスタートした。