これで完全復調となるか――。ロッテの石川歩投手(29)が13日のDeNA戦(横浜)で7回1失点9奪三振と好投し、今季7度目の登板で待望の1勝目(6敗)を挙げ「今までクソみたいな投球で迷惑をかけた。打ってくれた野手の方々に感謝したいです」と独特な言い回しで喜んだ。長い道のりだった。昨季は最優秀防御率(2・16)のタイトルに輝き、今年3月のWBCでは侍ジャパンの開幕投手を務めた。しかし、チームに戻ってから3戦全敗で4月下旬に二軍落ち。再調整は約1か月に及び、復帰登板となった5月23日のソフトバンク戦では7回4失点(自責点2)で負け投手となり、交流戦開幕となった同30日の阪神戦では5回途中7失点と炎上した。それでも再び先発として一軍マウンドに上がれたのは、首脳陣が石川の“男気”を買ったからだった。

 5敗目を喫した阪神戦後に伊東勤監督(54)は石川の二軍での再調整を決めた。英二投手コーチ(47)も代役の選手を決め、石川本人に二軍行きを確認。すると「チャンスをもらえるなら上(一軍)で投げたいです」と予想外(?)の答えが返ってきた。その時の状況を英二コーチは「てっきり『二軍でもう一度、調整させてください』と言うと思ったので驚きました」と明かす。翌31日に石川が直接、監督室を訪ねて「死ぬ気でやります」と猛アピール。石川といえば最多勝のチャンスがあった昨季終盤に「体もしんどいですから」と“登板辞退”したような控えめな性格で、自ら一軍残留を主張したことには伊東監督も驚いていたという。話し合いの末に6日の中日戦で先発機会が与えられ、6敗目を喫したものの8回3失点と復調。この日の勝利につながった。

 それでも試合後は「前回の方が全然良かった。スピードも出ていなかったけど、何なんですかね。(勝因は)ちょっと分からない」とマイナス発言を連発。これも“らしさ”が戻ってきた証拠か。