阪神が11日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)に2―5で敗れ、今年の交流戦初のカード負け越しを喫した。9日の試合中に負傷し「左ハムストリングの軽い筋挫傷」と診断された糸井嘉男外野手(35)がスタメン外となった打線が不発に終わった。今後に向けて気になる部分だが、本紙評論家の伊勢孝夫氏はあえて「糸井の登録抹消」を提言。併せて「西岡の一軍昇格」を勧めた。

【伊勢孝夫 新IDアナライザー】勝負強い打撃でパ・リーグ相手にも対等以上の戦いをしてきた阪神だが、今回のヤフオクドームでの3連戦は150キロ超えの真っすぐをバンバン投げ込むソフトバンク投手陣に力負けした。この3試合でクリーンアップはわずか1安打と低調だったが、4番の福留にしても3番の高山にしても技術的なことよりもセ・リーグにはない超速球にやられたという印象だ。

 それ以上に気掛かりなのが糸井の状態。左太もも裏という箇所はクセになるところでもあるので注意が必要だ。そのあたりは金本監督も重々承知しているからこそスタメンから外したのだろう。この日、9回に代打で登場し、三振に倒れた糸井は「(患部は)大丈夫でしょう」と話したそうだが、私は思い切って登録を抹消し、回復に専念させることを勧める。

 確かに代打起用で回復を待つことも一つの手。ベンチに糸井が残っていることは相手に脅威を与えることもできる。しかし、打席に立つ以上、悪化するリスクはある。ましてやFAで加入し、責任感が強い糸井ならば無理をしてしまうかもしれない。幸いにも阪神の貯金は「10」(11日現在)。大型連敗さえしなければ、優勝争いをできる位置にいる。本当の勝負どころとなる秋に万全の戦力で臨むためにも、今は戦力を整えることも大事。思い切って糸井を抹消し、完全休養させることが最善の策のはずだ。

 一方で打線の起爆剤となるのが西岡だ。左アキレス腱断裂から復帰し、この日のソフトバンク二軍戦(甲子園)では遊撃の守備にも就いたようだが、実戦で使える状態なら、すぐにでも一軍に上げるべき。若手選手ではできない相手が嫌がるプレーを得意とするのが西岡。優勝をするには“クセ者”といわれる選手の存在も必要。まさにうってつけだ。

 交流戦は残り西武、楽天と6試合。阪神は投手陣がしっかりしているだけに、パ・リーグ上位で打線好調の西武や楽天に対しても勝機は十分にある。残りの2カードを3勝3敗以上で乗り切り、リーグ戦再開となる広島との天王山に弾みをつけてほしい。(本紙評論家)