負の連鎖を断ち切れるか。巨人・菅野智之投手(27)が6日の西武戦(メットライフドーム)に先発する。チームは11年ぶりの10連敗と暗闇の真っただ中にあり、負けたら42年前の球団史上最長となる不名誉な連敗記録に並ぶ。是が非でも勝利を求められているエース右腕には、チーム内からはもう一つの“使命”が託された。

 5日、ジャイアンツ球場で調整を終えた菅野は「僕は開き直りとかは絶対に持っちゃいけないと思う。0点に抑えれば絶対に負けることはない。誰も負けようと思って負けていない。開き直りとか変にプラス思考に考えると、やるべきことを見失いがちになる。0点に抑える。シンプルにそこを目指す」と連敗脱出へ強い覚悟を示した。

 交流戦に入って巨人はパ球団に6戦全敗。リーグ戦に目を向けると4位ながら首位広島には9・5ゲームの大差をつけられ、5位中日には0・5差に迫られている。尾花投手コーチは「菅野は自分の投球をしてくれたらいい。菅野を心配してもしょうがない。投手がしっかり抑えることが(連敗脱出への)一番の近道だと思う」とエースに変わらぬ信頼を置いた。

 菅野に望まれるのは勝ち星だけではない。女房役・小林の“再生”も求められている。チームスタッフは「連敗続きで、小林もリード面でかなり自信を持てなくなっているようだ。捕手は誰でもそうだが、打たれ続ければ『また打たれるんじゃないか』『これも打たれるんじゃないか』と疑心暗鬼になって自信を持ってサインを出しづらくなる。今の小林は、まさにそういう状態に見える」。

 そもそも由伸監督は小林について「レギュラー」と認めていなかったが、今回の歴史的大連敗で首脳陣の評価はさらに急降下。初回に4失点した3日のオリックス戦(東京ドーム)は一度も打席に立つことなく代打を送られ、4日の試合で宮国とバッテリーを組んだのは実松だった。そこで菅野の出番だ。

「智之(菅野)は捕手を選ぶようなレベルの投手ではないが、誰ならより気持ちよく投げられるかといえば、やはり気心の知れた同学年の誠司(小林)」と指摘する別のスタッフは「智之が主導する形でも構わないから一緒に結果を残せれば、誠司の頭の中もスッキリするはず。誠司は打てない、守れないと言われるけど、あの強肩は相手への立派な抑止力になっている。今度こそビシッと抑えてほしい」と切実に訴えた。

 小林がスタメンマスクとは限らないが、コンビを組んだ場合、その再生も託される。連敗地獄を食い止めるだけでも至難の業だが、それ以上を求められるのもエースの宿命ということか。