<ソフトバンク7-2中日(31日)>ソフトバンク戦(ヤフオクドーム)に連夜の完敗と元気のない中日にあって唯一の救いが新助っ人のアレックス・ゲレーロ内野手(30)だ。31日は3試合連続の12号本塁打を放ち、セ・リーグトップの広島・エルドレッドに1本差に迫った。5月だけで10本のアーチを放つなど開幕当初の不振がうそのような暴れっぷりを見せている。

 復調のきっかけとなったのは“特命コーチ”の存在だ。主力野手が休日だった4月24日のナゴヤドームでの全体練習に参加したゲレーロに、打撃に関する肩書のない長嶋外野守備走塁コーチが付きっきりで指導。それ以降、試合前練習が終わるたびに長嶋コーチはゲレーロにあれやこれやとアドバイスを送っている。2人で楽しそうに爆笑している場面は一度や二度ではない。そこから劇的に成績がアップした。「毎日、細かいところを見てくれる。とても頭がいいんだ。話すこともポイントをついている。上から言うんじゃなくて分かりやすいので頭に入りやすい」とゲレーロは長嶋コーチに全幅の信頼を置いている。

 本来ならば肩書のない部門を指導することは越権行為で球界ではご法度とされる。しかし、長嶋コーチは特別。実はキャンプのときに森監督自ら「時間があるときに打撃も教えてやってくれ」と依頼していた。ゲレーロだけではなく、売り出し中のドラフト2位ルーキー・京田も「すごく分かりやすいです」と“長嶋打撃コーチ”の信奉者だ。

「月が替わっても打てるようにしたい」とゲレーロ。“特命コーチ”の力を借り、これからも打ちまくりそうだ。