巨人が28日の広島戦(東京ドーム)に延長10回2―3で逆転負けし、今季2度目の4連敗。屈辱の借金生活に突入した。これで広島戦は7連敗となり、通算成績は1勝10敗。“カープアレルギー”を払拭できない現状に、球団内には不穏なムードが漂ってきた。

 またもや広島の壁にはじき返された。5回までに2点を先制したが、7回に落とし穴が待っていた。6回無失点と好投していた先発田口が一死から鈴木に四球を与え、続くエルドレッドに痛恨の同点2ランを被弾。打線も6回無死二、三塁の絶好機から最後は小林が凡退して追加点を挙げられず、3番手カミネロが延長10回に代打西川に左越えタイムリーを浴びて力尽きた。

 由伸監督はこの日、今季初めて4番を阿部からマギーに代えるなど必死のテコ入れを図ったが、結果的には実らなかった。接戦をモノにできず、試合後の指揮官は「こういう試合を取っていくしか今はない。(点を)取れる時に取らないとこういう流れになってしまう」と悔しさをにじませた。

 広島に対しては今季本拠地で6戦全敗の屈辱で球団内に渦巻くフラストレーションも限界に近づいている。赤ヘル打線を止められない投手陣、つながりを欠く攻撃陣に対しても不満は募るが、怒りの矛先は扇の要へも向けられている。

「限られた戦力でやりくりしていることは分かる。一番は監督の起用に応えられない選手たちが問題」と前置きした上で球団スタッフは「少なくとも広島戦は小林にスタメンマスクを任せてこういう結果が続いている。そこまで小林にこだわる必要があるのか」と疑問を呈した。

 前日(27日)までの対広島戦全10試合には小林が先発出場し、72失点、被安打105と打ち込まれた。そうした現実もあり「昨日の宮国も打たれたが、捕手は実松でよかったのでは」と指摘する声も。実松は18日のヤクルト戦(東京ドーム)で先発マスクをかぶり、援護なくチームは0―1で敗れたものの、宮国を7回1失点と好リードしていた。

 本紙専属評論家の伊原春樹氏も「広島に小林のリードを読まれているのでは。今の小林の打力なら捕手を代えることも必要でしょう。巨人は広島に勝たないことには上にいけないし、今は打力と走力で完全に広島に力負けしている。いかに点を取られないようにするかを考えなきゃいけない」と話した。

 チームは上昇気流に乗れないまま、30日からパの首位を走る楽天と敵地3連戦。前夜の試合後には由伸監督が「投手に力がないのか、バッテリーコーチと考えるべきところがあるのか。(課題は)たくさんある」と言及。このまま流れを変えられずにズルズルと敗戦が続くようだと、球団のメスも入りかねない。