首位・阪神が21日のヤクルト戦(神宮)を5―4で制し、連敗を3で止めた。先制されながらも粘り腰。2点を追う7回に高山、上本の連続内野安打などで3点を奪い、ひっくり返した。チームはトンネルを脱出し、ひと安心といったところだが、気掛かりなのは糸井嘉男外野手(35)だ。開幕から打線をけん引してきたものの、ここ5試合は快音なし。かなり参っているのか、その舞台裏では周囲を驚かせる行動も見せている。

 1点リードの9回に守護神・ドリスが自らの失策もあって、一死満塁のピンチを招いた。しかし、ここで山田、雄平を連続三振に打ち取り、ゲームセット。薄氷の勝利を収め、金本監督は「(9回は)ミスのオンパレードで去年なら99%イカれていたところ。そこをイカれないのが今年のチーム力。勝ち運があったかな」と胸をなで下ろした。

 ただ、連敗ストップで安堵するチームとは裏腹にバットが湿ったままなのが糸井だ。この日も4タコに終わり、これで20打数無安打。「チームが勝ってよかった。打撃の調子? 分かりませーん!」と明るい表情で球場を後にしたが、打率は2割7分9厘にまで下降した。

 そんな糸井が破天荒な行動で周囲を驚かせたのは、阪神が3―8で敗れ、今季2度目の3連敗を喫した前日20日のヤクルト戦試合終了直後のことだ。首脳陣や選手が肩を落としながら引き揚げるなか、神宮球場三塁側ベンチ裏で“事件”は起こった。「いきなり糸井がバットを持って、そこでスイングチェックを始めようとしたんだ。みんな一緒にバスで帰るから『今、ここでやるのはまずい』と止めたけど、止めなかったら(ベンチ裏で糸井の)居残り練習が始まるところだったよ。まさか、これから帰ろうとしているところで練習しようとするとは…」(チーム関係者)

 これも危機感の表れ。練習の虫といわれる糸井だけに不振脱出に向けて必死にもがいているわけだが、チーム内からは「あんまり思い詰めて練習し過ぎてもパンクが心配」との声が出ている。「糸井は自分が打てずにチームも負けていたからかなり責任を感じていた。責任感が強いタイプだからね。幸い、今日でチームの連敗も止まったのでもっとリラックスしてやってほしい」(チーム関係者)とも言われているほどだ。

 虎での最初の壁。糸井はこの“無安打地獄”をどう乗り越えるか。