阪神が17日の中日戦(甲子園)に2―1で競り勝った。今季2度目の4連勝で貯金は4年ぶりの12だ。途中出場の悩める2年目・高山俊外野手(24)が8回に中越え勝ち越し二塁打を放った。不振でスタメン落ちが続いていた昨年新人王の久々の大仕事。そんな高山に敵味方の垣根を越えて、ある虎OBが激烈エールを送っている。

 8回表の守備から出場した高山はその裏、二死二塁で中越えの勝ち越し二塁打を放ち、虎党の大喝采を独り占めした。「集中して打席に入った。甘い球なら最初から思いきり振ろうと思っていた。ワンチャンスを生かすことができてよかった」。先発落ちの悔しさを晴らす一打。金本監督は「中谷を下げてまで出した。

(相手投手は左腕バルデスで)左対左だったけど、矢野コーチが『高山でいきましょう』と。コーチのファインプレー」と高山に託した理由を笑顔で明かした。

 そんな高山に猛エールを飛ばしている虎OBは、昨季、高山が塗り替えるまで阪神球団の新人最多安打記録を持っていたDeNAの坪井智哉打撃コーチ(43)だ。「今年の高山を見ていたら彼の気持ちがよく分かる。監督さんが我慢して使ってくれるのに結果を出せないという一番のつらさ。ベテランの人や他の先輩選手を使った方がいいのに自分を使ってくれる。それに応えられないのが精神的に来るんだ」と現状を分析。自身は阪神入団から2年連続で打率3割をマークしたが、2年目は開幕から16打席連続無安打と大ブレーキ。それでも「野村(克也)監督が使ってくれた」から“2年目のジンクス打破”に成功したという。

 それだけに今の高山の苦しみがよく分かる。プロ14年間で最も相手の攻め方が厳しいと感じたのは、現在の高山と同じ2年目の序盤戦で「“2年目のジンクス”とはこういう攻め方から来るのかなって思った。でもね、そういう経験は僕たちにしかできないから貴重。壁にぶつかることは成長するチャンスだから。でも、1つ壁を越えてもその先もずっと怖い。また打てなくなるんじゃないかっていう恐怖。でも、怖いから猛練習する。内角攻め、左投手攻略、少しずつたくましくなるよ。頑張ってほしいよね」

 敵味方の垣根を越えた猛エールを送るのもかわいい虎の後輩だからこそ。ここまで思ってくれている坪井コーチのためにも高山は奮起するしかない。