昨オフに左ヒジの遊離軟骨除去の手術を行った中日・小笠原慎之介投手(19)が大きな悩みを抱えている。

 今季初の先発登板を果たした10日のDeNA戦(ナゴヤドーム)では5回を投げて6安打3失点で黒星。初回から力のある真っすぐで押したが、球数が増えた4回につかまるなどスタミナ不足を指摘された。15日の甲子園での練習では「今、できることをしっかりやっていくしかない。スタミナ不足と言われないように。(次回登板が)最後のつもりで投げる。そういう気持ちで投げないと結果にはつながらない」と苦手なランニングやダッシュを繰り返し、汗を流したが、問題はそれだけではない。昨年、決め球として使っていたチェンジアップが落ちなくなってしまったことだ。

 昨年5月31日、プロ初登板のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)で鷹打線をきりきり舞いさせた魔球チェンジアップだが「今年は去年よりも完成度が低い。落ちないんです」と吐露する。その原因は左ヒジを手術したため。昨年までは遊離軟骨が邪魔して、ある程度までしかヒジが伸ばせなかった。ただ、その状態で投げることで逆にうまい具合にボールが抜けていたという。ところが、手術をしたことでヒジがちゃんと伸びるようになった。ヒジの位置が高くなり、真っすぐの球威が増し、カーブの精度も上がったが、チェンジアップだけが抜けなくなり落ちなくなったというのだ。

 チェンジアップのときだけ、ヒジを下げるわけにはいかない。「新しい自分にならないといけない」と小笠原。ヒジの位置が高くても落ちる新チェンジアップの習得が今季の飛躍の鍵となりそうだ。