ペナントレースが盛り上がりを見せる中で、すっかり音沙汰がない状況なのがソフトバンク・松坂大輔投手(36)だ。今季はオープン戦の最終登板で7回をノーヒットに抑えて復活への期待は高まったが、今や再びリハビリ生活に戻っている。3年契約の最終年。苦しむ平成の怪物は今、何をしているのか。

 チームが徐々に調子を取り戻しつつある一方で、復活を目指す松坂は苦しい日々を送っている。現在は右肩の不調のためリハビリ組でノースロー調整を続けている。

 筑後のファーム施設では表に出てくることもあまりなく、ウエートルームで黙々と汗を流すなどしている。最近は数日間、福岡を離れることも多く、関東地方の施設で治療を行っているという。最終的に右肩の手術に踏み切り登板なしに終わった移籍1年目にも見られた動きだ。

 詳細についてはベールに包まれている部分が多く、状況を知る一部の関係者も口を閉ざしている。ただ、苦しい状況であることは確かだ。チーム関係者は「まずは痛みが取れて、投げられるようにならないことにはどうしようもないでしょうからね。今年は、というところもあっただろうし、今は気持ちの面を保つのも大変だと思う」とおもんぱかった。

 実際のところ今季は復活への期待が限りなく高まっていた。昨年末、プエルトリコのウインターリーグに参戦。右肩の不安も緩和され「投げているときのストレスが格段に減った」(松坂)。キャンプでも精力的に投げ込んだ。オープン戦でも順調に登板を重ねて、3月25日の広島戦(ヤフオクドーム)では7回をノーヒットに抑えた。

 開幕ローテからは漏れたが、投球内容のインパクトは十分だった。倉野投手統括コーチも「本人にとってもチームにとっても大きい投球だった。何かあったときに助けてくれる選手」と明言。バックアップの筆頭候補となった。王球団会長も「選手はこういう変化もできるんだということを見ていただきたい」と復活を信じていた。

 しかし、これがおよそ1か月前に暗転した。左ヒジの張りによる和田の登録抹消にともない、一軍初先発のチャンスが訪れながら、右肩の痛みによりリハビリ生活に逆戻り。そして今に至っている。

 1年目は登板なし。2年目は1試合の登板のみに終わった。そして迎えた3年契約最終年――。当初は軽症と見る向きもあったが、初年度と同じく長いリハビリに専念する苦しい日々となっている。今季中に再び先発のチャンスをつかめるのか。苦しい状況に立たされている。