侍たちの“WBC後遺症”を巡る議論が熱を帯びている。日本プロ野球選手会は先月末、日本野球機構(NPB)と事務折衝を行い、今年3月のWBCに出場した侍ジャパンの全選手に対し、聞き取り調査を開始した。

 選手会側が問題視したのは、シーズン開幕後、調子を落としている代表選手が続出していること。事実、侍ジャパンで4番を担った筒香(DeNA)は、初本塁打を放つまで92打席を要した。山田(ヤクルト)、中田(日本ハム)らも苦しんでいる。

 一方で、少数ながら好成績を残している選手もいる。代表的な一人が、坂本勇人内野手(28=巨人)だ。WBCでは6試合で4割1分7厘と打ちまくり、開幕後も3割を大きく超える高打率をキープ。そのため、代表選手の好不調は「各選手個人の問題」とする声も少なくない。

 しかし、その坂本ですら、今も“WBC後遺症”に悩まされているという。本紙の直撃に対し「(昨季と比べて)タイミング(の取り方)がちっちゃくなったりとかはしているなと感じます。まだ、しっくりきていない感覚ですね」と明かした。

 具体的には、どういうことか。「(WBCで対戦した多くの投手は)変化が小さくて、速い球ですからね。曲がらない投手が多いから、こっちがあんまりゆっくりタイミングを取っていると、対応できない。タイミングの取り方を変えるしかないんです。こっち(NPB)とは、そのへんが違うので…」(坂本)。WBC終了後、短期間で“NPB式”の間の取り方に戻すのは、簡単ではないという。

 坂本は「自分のせいだし、他の選手のことはわかりません」と付け加えたが、他の侍たちも同様の苦しみを抱えているのだろう。

 選手会とNPBは今後、聞き取り調査の結果を検証し、2020年の東京五輪などへ活用していくという。NPBサイドは「負担があるのは事実。選手会の調査結果を踏まえつつ、良い方向に導けるよう検討していきたい」としているが…。国際大会とシーズンの両立という難題を解決する良策は生まれるか