2位の阪神は16日の首位・広島戦(甲子園)に2―1で競り勝ち、今季初の2カード連続勝ち越し。8回に原口文仁内野手(25)が決勝の左前適時打を放って貢献した。昨季7勝18敗とカモにされた広島に今季はこれで3勝3敗の五分だが、実は今季の虎ナインには天敵狩りに向けて気持ちを高める合言葉があるという。それは…。

 先発が試合をつくり、終盤に勝負を決める会心の勝利に金本監督は「今日の試合は僕の中でポイントになる試合と思っていたので(勝てて)良かった。今日負けると去年と同じようになってしまう。(広島には)前回(開幕カード1勝2敗で)負け越したので、今回勝ち越せて良かった」と喜んだ。

 1―1の同点で迎えた8回、先頭の新人・糸原が放った二ゴロの一塁アウト判定に指揮官は猛抗議。鬼の形相で塁審に詰め寄った金本監督の気持ちはナインにも伝わった。続く高山が中前打を放つなど二死一、二塁として原口が勝ち越しの左前適時打を放った。

 昨季、広島には9連敗を喫するなど「11」も負け越し。指揮官もナインも、そんな“カープアレルギー”を2年続けて引きずるわけにはいかないとの思いだった。決勝打の原口は「『今日勝って(広島に)何とか勝ち越そう』という話が試合前のミーティングの中であったので、打てて良かった」とコメントしたが、実は、今年の虎には赤ヘル狩りに向けて連呼されている合言葉がある。それはズバリ「広島に直接勝って、広島には常に貯金を作っていこう!」という勇ましいものだ。

 チームスタッフの一人はこう言う。「去年と同じ轍を踏まないために、みんながその意識を共有しているんです。とにかく出だしから広島戦に勝ち星を先行させていくことで、去年の苦手意識を引きずらないことが大事だから」。別の関係者も「今年のクライマックスシリーズで対戦することを想定して、逆にこっちが広島に苦手意識を植え付けるくらいの戦いをしないといけないという考えがあるんです」ときっぱりだ。昨年とは真逆に広島をカモにしようと誰もが燃えている。

 この日の勝利で貯金を今季最多タイの3に戻し、首位・広島とのゲーム差を再び2・5に縮めた阪神。開幕早々のこの時期に本来はそれほど意識するものではないが、広島戦に限って話は別。今後も直接の“コイ食い”を目指す。