<中日5-2ヤクルト(12日)>昨オフに育成選手から支配下選手に昇格した中日2年目の三ツ間卓也投手(24)が12日のヤクルト戦(神宮)でプロ初勝利。同点の8回から2イニング無失点の好リリーフ、味方打線が延長10回に勝ち越した。「一昨年に独立リーグ(BCリーグ・武蔵)にいたときから(NPBの)一軍で活躍することが目標だった。1個うれしい出来事ができた」と笑みがこぼれた。

 中日の育成ドラフト入団選手としても初勝利となった三ツ間の野球人生は雑草そのものだ。高校は群馬の健大高崎。「機動破壊」で知られる全国区の強豪校だが、当時は甲子園出場はなし。そもそも高校3年間は右肩を痛めてほとんど投球することもできず「試合に親を呼ぶことは一度もできませんでした」という。

 東京新大学野球の2部リーグの高千穂大では投手として活躍。ただプロ球団から話が来るレベルではなく、卒業後は内定をもらった不動産会社で会社員として働くつもりでいた。しかし、どうしてもプロ野球選手の夢が断ち切れずにBCリーグのトライアウトを受けることを決めた。「社長に自分の思いを伝えて謝りました。『頑張ってこい』と言われました」と振り返る。

 BCリーグ・武蔵では「とにかく1年やって(NPBから)声が掛からなかったら諦めよう」と文字通り寝る間を惜しんでトレーニングに明け暮れた。そんなストイックさは中日に入団しても変わらない。朝が早いファームでも深夜0時近くまでトレーニング場でクールダウンをする徹底ぶりで関係者を驚かせた。

 沖縄一軍キャンプでなかなか登板機会がないと「投げられないなら声ででもアピールします」と誰よりも声をからしたサイドハンド右腕。そんな努力がついに実を結んだ。