【ズームアップ甲子園 第11日(30日)】第89回選抜高校野球大会では東西の怪物スラッガーとして早実(東京)の清宮幸太郎内野手(3年)と履正社(大阪)の安田尚憲内野手(3年)が注目を集めた。2人に関してはプロスカウトも密着マークしているが、それ以外の選手の評価はどうか。掘り出し物はいたのか。スカウトたちに聞いてみた。

 大多数のスカウトは「どうしても清宮と安田は別格」と言い、2人と他の選手との間にはやはり“壁”があるようだが、そんな中、両怪物に次いで評価が高かったのは第1日の1回戦で履正社に敗れた日大三(東京)の左腕・桜井周斗(3年)だ。「スライダーが良くて三振が取れるボールがあるのは強い。ウイニングショットになる変化球があって左というのも魅力」とソフトバンク・作山スカウト。

 オリックスの中川アマチュアスカウトグループ長も「縦や横に落としたり、何種類か投げ分けているあの特徴のあるスライダーは武器になる。安田からも三振を取っていたし、去年の秋の東京大会(決勝)でも清宮から5三振取っているしね。まだまだ粗いところはあるけど、磨けばもっともっと伸びるモノは持っている」と期待し、アトランタ・ブレーブスの大屋国際スカウトは「プロでも通用する。森福(巨人)のような投手になれる」。ヤクルトの橿渕スカウトグループデスクは「履正社戦で投げたスライダーに目が向きがちだけど、直球も140キロくらい出るからね」と話した。

 続いて多くのスカウトから名前が挙がったのは宇部鴻城(山口)の嶋谷将平内野手(3年)。「フットワークの良い動きとか、天性のグラブさばきとかが際立っている。ダイナミックであり、なおかつ洗練されている。(身長180センチの)大型遊撃手でありながら足もあるし、ソツなくこなせて非常に魅力を感じる。身体能力が高いし、昔の石毛(元西武)みたいにならないかなと思っている。守備でお客さんを呼べるような華がある」(中日・中田スカウト部長)との声が飛び交った。

 大阪桐蔭(大阪)の2年生・根尾昂(あきら)外野手の評判もいい。中学時代にスキーで日本一になるなどその身体能力は抜群で投手、内野、外野をこなし、打っても主軸。2回戦の静岡(静岡)戦では遊撃からマウンドに上がり最速146キロを計測するなど好リリーフし、巨人・渡辺スカウトは「二刀流、三刀流のワクワク感がある。あんなこともできるんだと野球界が盛り上がる理由になる。やらせるかわからないが、チャレンジする可能性は秘めている」と熱く語る。

 阪神の畑山チーフスカウトも「マウンドではバッターを見下ろすように自信を持って投げている」と褒めた。

 ほかには熊本工(熊本)の最速149キロ右腕・山口翔(3年)。1回戦で智弁学園(奈良)に11安打9失点(自責5)と打ち込まれて敗退したが「スピンのかかったあの140キロ台後半の真っすぐは魅力だし、バランスもいい。素材は素晴らしいと思う。完成されたときには、どれだけの投手になってくれるのか、そういう期待を持たせてくれる」と楽天・仁村スカウト副部長。中日・中田スカウト部長も「可動域の柔らかさとか、天性の投手としての素質を持っている。去年の作新学院の今井(西武)の春先みたいな感じ。1~2年はかかるかもしれないが、去年の今井みたいに2~3か月できっかけを覚えると(夏までに)とんでもない投手になる可能性がある」と評した。

 また多くのスカウトから聞かれたのが「捕手は面白いのが結構いた」との意見。福岡大大濠(福岡)の古賀悠斗(3年)、秀岳館(熊本)の幸地竜弥(3年)、報徳学園(兵庫)の篠原翔太(3年)にチェックマークがつけられていた。