第89回選抜高校野球大会第8日の27日、第2試合で高校通算79本塁打の“怪物スラッガー”清宮幸太郎内野手(3年)を擁する早実(東京)が8―11で東海大福岡(福岡)に敗れ、2回戦で姿を消した。清宮は2試合通算で9打数3安打、0本塁打、0打点に終わったが、ネット裏のスカウト陣はこの内容をどう見たか、さらに気になる怪物の進路に関しては…。

 1年の夏以来の甲子園で一発を放つことはできなかった清宮だが、スカウト陣の評価はやはり高かった。中日・中田スカウト部長は「清宮は別格だよ。間違いなく何年かに1人しか出ない選手。ホームランを狙ってちょっと打ち損なうところもあったが、これがヒットだけ狙いにいったらもっと打つと思う」と言えば、楽天の仁村スカウト副部長は「スイングスピードが全然違う。素材としたらすごくいい。プロで十分やっていけると思う」。

 オリックスの中川アマチュアスカウトグループ長は「この大物感は大学生まで入れてもなかなかいない。本塁打こそ出なかったが飛距離、長打力の片鱗は見れた。将来の大砲候補となる素材」とうなり、ソフトバンクの小川編成・育成部長兼スカウト室長も「将来的には楽しみ。長打力があって体も大きい。オーラもある。柔らかいハンドリングがうまくて芯で捉える能力も高い。ベーブ・ルースと対比されるような風貌。足が遅いわけでもなくて、エンジンも丈夫。集客力も『持ってるよね~』」と舌を巻いた。スカウトの中には「清宮はバッティングは面白いけど、一塁しか守れないでしょ。あの体でプロでやるとなったら『故障するんじゃないのかな?』というのがまずある。見るからに下半身が弱い」との手厳しい意見もあったものの、大多数が二重丸印をつけた。

 では「将来の目標はメジャーリーガー」と公言する清宮について、メジャースカウトの評価はどうか。ブレーブスの大屋国際スカウトは「日本のトップレベルではあるし、バッティングだけなら面白いと思う。このバッティングならメジャーに挑戦する欲を出す資格はある。いい点はスイングスピードの速さ」と話す。だが、褒めてばかりではない。「悪い点は選球眼。甘い球を打ち損じている。確実に打たないといけない。カウントが追い込まれてないのに打つ必要はないし、強く叩きにいこうとしている。あれはチームバッティングではなくワンマンプレー。打ちたがりが出ている」とも付け加えた。

 早大進学か、プロ入りかと注目される清宮の進路についてスカウト間では、どう言われているのか。大方のスカウト陣は「やっぱり一年でも早くプロに入ってほしい。実力面でも人気面でも球界の宝となる存在なんだからね」とラブコールを送りながらも、肝心の進路情報に関しては「全く分からない。こっちが知りたいくらい」と口を揃える。あるスカウトは「清宮をドラフト1位でいくのが何チームになるのか、いくにしても変な順位では獲れないし…。プロ入りしないならしないで早く決めてほしい」と切に訴えた。春の聖地は2回戦で終わったが、スカウト陣のグラウンド内外の“清宮チェック”はさらに続く。