【センバツ】甲子園1勝目はおあずけも 帝京五・小林監督の光る育成手腕

2017年03月28日 16時30分

甲子園で采配を振る帝京五・小林監督(左)

【赤ペン!!赤坂英一】先週から連日、甲子園で選抜の試合を観戦している。高校野球の取材は25年ぶりで、いろいろな話題がある中、私が最初に注目したのは、1回戦で昨夏の覇者・作新学院に敗れた帝京五の1年生監督・小林昭則だ。

 

 甲子園ファンにはよく知られている通り、小林は帝京のエースとして1985年選抜の準優勝に貢献した。決勝で敗れた相手が伊野商の渡辺智男(現西武スカウト)で、帝京の主将だった同期生が河田雄祐(現広島外野守備走塁コーチ)。1回戦の前日は渡辺が小林に激励の電話を入れ、河田はちょうど広島が大阪に遠征中だったので、帝京五の宿舎に足を運んで旧交を温めたという。

 

「去年は、ぼくが広島のコーチに復帰して1年目で優勝したでしょ。小林は去年4月に帝京五の監督に就任して、1年目で四国大会準優勝、甲子園出場ですからね。お互い、50歳を前によく頑張ってるなと思います」と河田。相手が作新とあって、小林が「ウチは打てないからなあ」と少々弱気な表情を見せると、河田は「大丈夫、大丈夫、作新だってそんなに打てないから。昔から栃木に打てる高校なんてあんまりないんだから」と言って元気づけたそうだ。どんな根拠があるかはともかく、高校時代もこうして主将がエースを励ましていたのかと思わせるやりとりである。

 

 しかし、結果は作新が河田の予想を覆す(?)豪打を発揮。帝京五が1―9で完敗し、小林は「圧倒されました。ウチらしい野球がまるでできなかった」とガックリ。記念すべき甲子園1勝目はおあずけとなった。

 

 小林は帝京を卒業後、筑波大で活躍し、89年のドラフト2位でロッテに入団。プロでは未勝利に終わったが、2000年から母校・帝京に教員として就職し、02年から恩師・前田三夫監督の下で助監督に就任している。在任中は高市俊(元ヤクルト)、大田阿斗里(元オリックス)らプロ入りした好投手を育て、高校球界では一躍名指導者と言われるようになった。

 

 一見、それほど素質があるように見えない投手が、小林の手にかかると体を大きく使って投げ込む速球派に変貌する。帝京でもその育成の手腕を評価され、一時は前田監督の後任候補と目されていたほど。近い将来、小林監督が自前で育てたエースを連れて甲子園に凱旋する姿を見たい。

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