WBC優秀選手・ソフトB千賀「米移籍」の行方

2017年03月24日 16時30分

優秀選手に選出された千賀(ロイター=USA TODAY Sports)

 米国の世界一で幕を閉じた第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の主催者は22日(日本時間23日)、大会MVPと優秀選手を発表し、侍ジャパンからただ一人、ソフトバンクの千賀滉大投手(24=ソフトバンク)が選ばれた。準決勝の米国戦では初失点して負け投手となったが、今大会は先発とリリーフで4試合に登板し、計11回を投げて16奪三振1失点で防御率0・82。世界に認められた育成出身右腕の今後に、注目が集まっている。

 準決勝で米国に敗れた侍ジャパンが23日、米ロサンゼルスから帰国した。予定より2時間遅れの午後5時20分に成田空港に到着。空港には約200人が出迎え、国旗を持ったファンもおり、選手が到着ロビーに姿を現すと歓声が上がった。

 WBCでの千賀は4試合に登板して、1勝1敗、防御率0・82。準決勝の米国戦では敗戦投手になったものの、2番手として2回を投げて4者連続を含む5三振を奪った。150キロを超える直球と「オバケ」と称されるフォークで抜群のインパクトを残した。

 2013年にはリリーフとしてのリーグ連続無失点記録(34回1/3)をマーク。昨季も12勝を挙げながら、決して全国的な注目度はなかった。2010年に育成ドラフト4位で入団してからのリアル・シンデレラストーリーとなったが、この“続き”はどのようなストーリーが想定されるのか。

 真っ先に目がいくのがメジャー移籍の可能性だろう。もちろん、今後の活躍次第となる上に、本人の意思もかかわってくるが、その投球は米球界にも十分すぎる衝撃を与えた。メジャースカウトからの熱視線も浴びた。たとえば日本ハム・大谷は23歳の今オフにもポスティングで移籍する可能性が浮上しているが…。

 結論としては、今後どんな成績を残したとしても、Xデーは相当な先の話になる。ソフトバンクでは例外なしの基本方針として「うちはポスティングを認めないスタンス。それは変わらない」(球団フロント)からだ。

 孫オーナーは「世界一を目指す」ことを掲げている。金銭面以外の兼ね合いで実現は厳しいが「トップクラスのメジャーリーガーが獲れないのか」と球団側に投げかけたこともあった。仮に千賀の年俸が5億円、10億円、15億円…と膨れ上がろうとも、カネのために選手を譲渡するポスティング制度は理念と反するものになる。

 また、それだけの金銭的な余裕を持った球団だ。今は日本から米国への一方通行の人材流出となっている。それだけに、かつては「現状では仕方がないが、今はトップクラスの選手がみんなメジャーリーグに行く。国内にとどめられる選択肢となるような球団があってもいいと思う」と話した球団幹部もいたほどだ。

 ソフトバンクの球団買収以降、城島、和田、川崎が海を渡っているが、全員が海外FA権を行使してのもの。後藤球団社長も公の場で「うちのチームにポスティングは必要ないと思っている」と明言している。現状の制度では、千賀のメジャー移籍は早くても海外FA権を得る2023年オフになるというわけだ。

 今回の活躍によりメディアの注目度も急上昇。「キー局や雑誌からの取材がかなり来ています」(球団関係者)という。ただ、実際のところ千賀のキャリアはスタートしたばかり。球団側は極力シーズンに集中させるように取り計らう方針だ。

 近年ではパ・リーグのエースが次々とポスティングで米移籍している。ソフトバンクとしては足元を見据えさせながら、当面は国内最強右腕として育てていくことになる。

【WBC最優秀選手】
投手:ストローマン(米国)

【WBC優秀選手】
投手:千賀(日本)、ザイド(イスラエル)
捕手:モリーナ(プエルトリコ)
一塁手:ホスマー(米国)
二塁手:バエス(プエルトリコ)
三塁手:コレア(プエルトリコ)
遊撃手:リンドア(プエルトリコ)
外野手:バレンティン(オランダ)、ポランコ(ドミニカ共和国)、イエリチ(米国)
指名打者:ベルトラン(プエルトリコ)

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