【カリフォルニア州ロサンゼルス20日(日本時間21日)発】第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で世界一奪還を目指す侍ジャパンは21日(同22日)にドジャー・スタジアムで行われる準決勝で開催国の米国と対戦する。小久保裕紀監督(45)が大一番の先発に指名したのが侍のエース・菅野智之投手(27=巨人)だ。前回先発した2次ラウンドのキューバ戦で4回4失点で降板した右腕にとって雪辱チャンスだ。どんな強い思いでマウンドに上がるのか。
午前8時半過ぎ、侍ジャパンを乗せた大型バスが、決戦の地ドジャー・スタジアムに到着した。その後、行われた公式会見では小久保監督は、米国戦の先発は菅野と発表した。同時に先発を告げたのは16日、アリゾナへ出発する便を待つ、羽田空港の待合室だったことも明かされた。
菅野の実力を高く評価、エースと認める一方で、指揮官はこんな注文もつけた。「やっぱりインサイドをうまく突っ込んでいった方が菅野は幅が広がるんで、そこは大事かなと思う。(内角を恐れて)外一辺倒ではね、前回みたいな感じで窮屈になる。窮屈にならないように投げてほしいし、そのためにはどうしたらいいかをバッテリーは考えてほしい」
14日の2次ラウンドのキューバ戦に先発した菅野は4回4失点で降板した。その反省を踏まえた投球を期待しているのだ。もちろん、野球ファンも同じ思いだろう。
そんな思いを一身に背負った菅野は、公式練習で軽めの調整で汗を流した。そのままロッカールームに引き揚げるかと思いきや、向かったのはケージ裏。そこには前回大会で監督を務めた山本浩二氏(70)らとともに、激励に訪れた第2回WBCで世界一監督となった原辰徳氏(58)の姿があった。軽く体をたたき言葉をかける原氏に、苦笑いを浮かべる菅野。いわずと知れた伯父とおいの関係だけに、2人のからみに無数のシャッター音が鳴り響いた。
その後、報道陣に対応した菅野は「夢の舞台ですし、誰もが与えられる役割ではない。小久保監督がどういう気持ちで自分に託してくれたかをしっかり考え、日本の野球ファンの皆さんの期待をしっかり背負ってマウンドに上がりたいなと思います」と、何か吹っ切れたような穏やかな表情で意気込みを語った。
試合を重ねるたびに勢いづく米国打線に関してはこう語る。「無駄な四球であったり、先頭バッターを切る…当たり前のことですね。あとは、2アウトから長打をくらわないとか、ランナーをためないとか」。相手ではなく自分の投球を貫くことに集中するとしたが、指揮官がポイントに挙げた内角への意識を聞かれると、目つきが変わった。「もうガンガン攻めていきたいと思います。変な話、ホームラン打たれるくらいだったら、デッドボールでも一発ぶつけたろうかなと、そのくらいの気持ち、覚悟を持ってやっていきたい」
気になる原氏との“歓談内容”は…。菅野は「『腕がちぎれてもいいから投げろ』と言われました。まあ…ちぎれないように頑張ります」とニヤリ。笑いで締めた背番号11に悲壮感はない。決戦での好投を期待できそうだ。
米国戦先発の侍・菅野 死球上等!「ガンガン攻めていきたい」
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