【アリゾナ州グレンデール19日(日本時間20日)発】第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で世界一奪還を目指す侍ジャパンは、ドジャースと練習試合を行い、2―3でサヨナラ負けした。もっとも、小久保裕紀監督(45)にダメージはない。21日(同22日)に行われる米国との準決勝に向け、勝利の手応えを得たからだ。その必勝法とは――。

 6回、先頭の4番・筒香(DeNA)がドジャース4番手の右腕モローの初球、ストレートを逆らわずに左翼へ押し込んだ。打球が左翼線を転がる間に悠々と二塁まで進むと、代走に平田(中日)が送られた。すでにベンチでクイックの遅さを見抜いていた平田は、続く5番・中田(日本ハム)の初球、スライダーを投じたところで迷うことなくスタートを切り、三塁を陥れた。無死三塁。中田はモローの2球目、真ん中高め146キロの直球を叩いた。打球は二塁手の頭上を越える中前打。平田が勝ち越しのホームを踏んだ。たったの3球、スタンドのファンもあっけにとられた鮮やかな得点シーンだった。

 この日は侍ジャパンは打倒米国、世界一奪還への対策を実行していた。顕著だったのが、初球、またファーストストライクを取りにくる直球系には積極的に打っている点だ。勝ち越しに成功した筒香、中田だけでなく、菊池も3打席、すべて初球から迷うことなく狙っていった。

 足も生かした。5回無死一、三塁で炭谷の二塁への併殺崩れの間に同点に追いついたが、この時も先頭鈴木は四球で出塁するとすかさず二盗を決めている。それに加えて、引っ張らない、強振しない意識だ。この日は8安打中6本が中堅から逆方向。力のある、しかも微妙に動いて芯を外してくるボールに対してはフルスイングすれば術中にはまる。東京ドームで行われた1、2次ラウンドは10本塁打で相手国を粉砕したが、スモールベースボールに変えるということだ。

 試合後、連日の暑さもあってか、小久保監督は「ちょっとやっぱり疲労が怖いですね。見てるだけでもこんだけ…」と汗をぬぐった。注目の打線に関しては「あさってに向けて、どの並びでいけば(打線が)つながる確率が高いかを考えて組もうかなと思う」とした。試合後、侍は早々に身支度を整え、決戦の地ロサンゼルスへ向け出発した。ドジャー・スタジアムで行われる準決勝の相手は開催国の米国。指揮官は表情を引き締めこう語った。「完全アウェーの『USAコール』の中で試合できるのは逆に幸せに感じてやりたいです」。やるべきことはやった。あとは自分たちの野球をやって強敵を倒すだけだ。