第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で決勝トーナメント進出を決めた侍ジャパンが16日(日本時間17日)最終決戦の地・米国入りした。6戦6勝という過去の日本代表にない快進撃とあって、2大会ぶりの世界一奪還への期待も大いに高まるが、そんな侍たちを率いる小久保裕紀監督(45)の評価はどうなのか。任期はWBC終了までだが、本紙専属評論家の大下剛史氏はその采配を絶賛した。

【大下剛史 熱血球論】1次、2次ラウンドを見て小久保監督は本当に偉いと思った。この若さで侍ジャパンの監督を任され、各チームの主力選手を預かって、準決勝のアメリカにまでしっかりと連れて行った。選手選考のときにはいろいろと思うようにいかないこともあったが、そんなことも感じさせない戦いぶりだ。1次ラウンド初戦のキューバ戦を見たときはいったいどうなるのかと不安になった。この大会はリリーフ投手が焦点になると見ていたが、そのリリーフが次々と打ち込まれたからだ。しかし、きっちりと修正した。

 当初は抑えに秋吉(ヤクルト)という話もあったが、不安と見るやこの大会では牧田(西武)に任せた。リリーフで起用していた千賀(ソフトバンク)を、勝てば準決勝進出が決まる大事なイスラエル戦に持ってきて大成功。その見極めが素晴らしい。まさに適材適所。投手起用に迷いやよどみがない。もともと腹が据わっている男だが、ベンチでの様子を見ていると非常に落ち着いている。どしっとしていて、選手も安心してプレーしているように映る。WBCは1試合ごとに日本中が盛り上がりを見せヒートアップしている。これはもう日本シリーズ以上だ。決勝トーナメントが日本じゃなくてアメリカでよかった。これだけ盛り上がったら選手はどうしても余計に勝ちたいと硬くなる。アメリカならばまだ楽だろう。

 さてその準決勝だが、日の丸をつけて思い切り暴れればいい。それでも小久保監督にアドバイスを送るとすれば、投手交代で冷静な判断をすること。負ければ終わりの決勝トーナメント。総力戦でやりやすいようにも見えるが、実は難しい。むやみに早め早めの継投では失敗する。交代が遅れれば「この1戦しかないのに何で代えなかったんだ」となる。

 監督というのはどうしても最後の最後になると自分が出てくる。のるかそるかの試合でカーッとなって、周りの意見を聞かず、最後は自分の思うようにしようとする。そういう監督を何人も見てきた。権藤さんはダテに年を食っていないし経験もある。そこは話し合って2人で意見を出し合って決めてほしい。(本紙専属評論家)