筒香の“能面”をノムさんが大絶賛

2017年03月16日 16時30分

6回に均衡を破る本塁打をバックスクリーン右に叩き込んだ筒香

 侍ジャパンが6戦6勝で、第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)決勝トーナメント進出を決めた。15日の2次ラウンド・イスラエル戦(東京ドーム)に8―3で快勝。試合を決めたのは、0―0の6回、バックスクリーン右へ3号ソロを叩き込んだ日本の主砲・筒香嘉智外野手(25=DeNA)だった。投げてはWBC初先発の千賀滉大投手(24=ソフトバンク)が5回をピシャリ。勢いに乗る侍たちは16日に渡米し、2大会ぶりの世界一奪還を目指す。

 

 侍ジャパンの若き4番・筒香が、日本を4大会連続の準決勝進出に導いた。6回先頭の第3打席、イスラエル2番手・アクセルロッドの141キロ直球をバックスクリーン右に突き刺した。ベンチに帰ってくるまで無表情を貫いた筒香は「千賀と平野さんがいい流れを作ってくれたのでテンポ良く打席に入ることができた。4番どうこうよりチームが勝てばそれでいい」と投手陣への感謝を忘れず殊勲の一打を振り返った。

 

 そんな筒香については球界の重鎮・野村克也氏(81)が自身の出演するスポーツ情報番組「S☆1」(TBS系列)内でその無表情ぶりを絶賛。「何を考えているか分からない。捕手にとっては一番不気味」と心理状態を相手に読ませない“能面打法”を称賛している。

 

 筒香自身はそれについて「心が揺れると体の軸がブレる。だから何も考えないように、動じないようにしている」と語っている。一方で、横浜高時代、渡辺元智元監督(72)とともに筒香にスラッガーの基礎を叩き込んだ小倉清一郎元部長(72)は「そういう教育をしてきた」とした上でこう続けた。

 

「お前がドカンと打っただけで、すでに相手投手はショックを受けている。そのうえで喜んだりすればどう思うか。常に相手の痛い心情を思いやり、その立場に立って振る舞いなさいと指導してきた。内心はすごく喜んでいると思うんですよ。もともとよく笑う子だから」

 

 打たれた相手への敬意から取り組み始めた“能面打法”が、精進の果てに球界の名将に絶賛されるまでになるとは恩師でさえ想像しなかったという。

 

 小倉氏は「素質と練習量だけはすごかったが、はっきり言って高校時代はたいしたことはなかった。バックスイング時にヘッドが頭の後ろに入ることで振り遅れる。ギッコンバッコンの振り遅れ打者だった。その一点だけをずっと言い続けてきて、ようやくこの3年ぐらいでタイミングが取れるようになってきた」と筒香の技術的進歩にも言及した。

 

 そして、同氏は「テレビで見ていると投手をにらみながら『オレはもうすごい打者になった』とこちらに言っているよう。こっちは勝手にそう解釈している」とどこまでも高く上り詰めようとしている教え子の姿を頼もしく見つめている。

 

 頂点まであと2勝となった決勝トーナメントに向け「同じ人間と戦うわけですし、負けを恐れず戦うだけです」と静かに闘志を燃やす筒香。日本が誇る“能面侍”がドジャー・スタジアムでもその冷めた瞳で豪快な放物線を描いてくれそうだ。