第4回WBCで日本は開幕から負けなしの4連勝。その原動力の一人が小林誠司捕手(27=巨人)だ。扇の要として先発マスクをかぶり続けるだけでなく、12日の2次ラウンド初戦・オランダ戦(東京ドーム)で適時打を放つなど攻守で存在感を示している。「確変モード」になっている侍の若き正妻を巨人の首脳陣はどうとらえているのか。村田真一ヘッドコーチ(53)を直撃した。

 ――WBCで小林が大活躍している

 村田真 ああいうところでできるのは幸せなこと。ただ、すごい緊張してると思う。その中4連勝だからなあ。彼の今後の中でいい経験になると思うよね。

 ――打撃もすごい

 村田真「どうしたんや」っていうぐらい、打ってるよ。昨日(12日のオランダ戦)もずっとテレビで見てたけど(5回の)センター前(への適時打)な! アウトローいっぱいのスライダーを左手一本で芸術的なバッティングやった。(遠征先のチーム宿舎の)ベッドの上でひっくり返りそうになった(笑い)。

 ――捕手としてのキャッチングもいい

 村田真 そうやね。ランナーがいてワンバウンド(の投球)でも、全部止めてるやん。独特の緊張感の中でやってるからなんやろな。それがええ方向にいってるんやろなと思う。

 ――WBCで成長しそうな気配がある

 村田真 絶対成長するよ。極限で野球をやっていけるというのはやっぱり、勝負に対する刺激になると思う。それに前回のWBCにも出た経験者たちとも話をしているやろうし、1勝の重みや1球の責任感とかが出てくるとオレは思っている。

 ――これまで小林には厳しく接してきた

 村田真 彼が一人前にならないと巨人は常勝チームにできない。昔の阿部じゃないけど、彼が担っているポジションは本当に大きい。計り知れないものがある。アイツがそれを安易に考えては困るしね。やるからには責任があるわけだからさ。

 ――小林は正捕手筆頭候補か

 村田真 候補? いや、そりゃあ、小林が正捕手よ! それであることは、間違いないよ。監督だって小林でいきたい。

 ――今まで足りなかったところは

 村田真 アイツはさ。実際はワンバウンド(捕球)もうまいのよ。去年何回(パスボールを)やった? ちょっと油断してるところがあったよね。絶対捕れるところをエラーしたりとかさ。このWBCに関してはワンバウンドも全部止めてるし動きもいいよね。そう考えると去年までは脇が甘いところがあるというか…。そうなるとオレも怒るやん。「あそこは絶対捕らなアカン! 準備してたか」と。それはヘタやったら、練習してできることなんやから。

 ――WBCで今後、小林に望むものは

 村田真 今のところ4連勝という、いい結果が出てるけど(決勝トーナメントを前に)もしかすると、どこかでこの先負けることがあるかもしれない。でも、その負けた時にアイツが、それを糧にして素直に受け入れて反省して、できるかどうかということやな。気持ちを切り替えられるかというね。

 ――勝ち進めば相手のレベルも上がる

 村田真 そりゃ、そうよ。(決勝トーナメントで)米国に行ったら、米国やドミニカ(共和国)のような強い国のクリーンアップと対峙して「どうやったら抑えられるんやろうか」と考えるわけやからさ。ええバッターが来たらやっぱりベース板の中で勝負するのは無理。(投手と)話し合ってケンカ腰でいかなきゃいけないわな。目つきも悪い連中とやらにゃいかんだろうしね(笑い)。結果はどうあれ、小林は大きくなって帰って来てほしいよ! すごい楽しみにしている。