小久保監督が決断 侍の正妻は小林

2017年03月10日 16時30分

小久保監督(左)、武田ら投手陣とコミュニケーションをとる小林(右)

【WBC侍ジャパンドキュメント2017(3月9日)】侍ジャパンが9日、2次ラウンド進出を決めた。この日、オーストラリアが中国に勝ったため、1位通過が決まった。10日の1次ラウンド最終戦の中国戦(東京ドーム)は“消化試合”となったが、この試合で小久保監督は小林誠司捕手(27=巨人)を3戦連続となる先発マスクで起用すると明言。侍と巨人の間で微妙な逆転現象が起きている。

 

 先発予定の武田(ソフトバンク)の女房役が注目されていたこの日、東京ドームで報道陣に囲まれた指揮官は「捕手は明日は小林でいきます」と明言。「最初は投手によって(捕手を)代えようと思っていたが、強化試合での小林の肩の強さを見て決めた」と主戦捕手固定の経緯を明かした。

 

 宮崎合宿がスタートした当初、チームの正捕手は嶋(楽天)か大野(日本ハム)が務めるものとみられていた。ところが嶋が故障が癒えず離脱。ソフトバンクとの練習試合では、先発した大野が3盗塁を許した。一方、小林は阪神との強化試合で二盗を阻止し、強肩をアピールしていた。

 

 だが本紙WBC取材班の堀江は、なかなか現状をのみ込めない。担当する巨人では、小林は“レギュラー未満”の立場なのだ。「由伸監督や村田ヘッドも、きっと驚いているだろうな」。失礼ながら、そんな思いを正直に小林にぶつけると「みんな意外に思っているでしょうね。僕もですけど」と笑って返してくれた。

 

 とはいえ、侍合流後の小林の成長は目を見張るものがある。その一端が、千賀(ソフトバンク)の“お化けフォーク”克服だ。昨秋の強化試合オランダ戦で、小林は落差の大きい千賀のフォークを何度も後逸する失態を演じた。あの魔球をどう捕るべきか。実は侍合流直前、小林は那覇での楽天戦で、ソフトバンク時代に千賀の女房役だった細川に助言を求めたという。

 

「あのフォークは両ヒザを思い切り前に突き出さないと捕れないよ、と。当然、ミットは下から。結果的にノーバウンドでも、ワンバウンドのつもりでいかないと間に合わないと聞きました」。先輩のアドバイスを生かし、強化試合で新スタイルに挑戦。そして本番のオーストラリア戦では完璧に受け止めてみせた。

 

 自主トレで阿部に伝授された投手への“気配り、目配り”も冴えている。オーストラリア戦の5回一死満塁の場面では、6連続ボールの岡田(中日)を絶妙なタイムを取って落ち着かせた。小林によると「間を取りに来ただけだよ。真ん中に構えるから、打たせよう」と声をかけたのだという。直後に併殺で危機を脱し、小久保監督からはファインプレーと絶賛された。

 

 練習中から多くの投手と笑顔で冗談を交わす姿も新鮮だ。「巨人に戻ったら、しっかり監督に報告しないと」。小林にはめっぽう厳しい巨人・由伸監督の顔を思い浮かべながら、堀江はにやけ顔でメモを取った。