トランプ政権誕生でキューバ代表「最悪」 侍Jに追い風か死んだフリか

2017年03月07日 11時00分

西武に完封負けし、ガックリのキューバベンチ

 第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の開幕を目前に控えた侍ジャパンは5日、京セラドームで行われた本番前の最後の強化試合・オリックス戦に、5―3で辛勝。対外試合2勝3敗で1次ラウンド初戦のキューバ戦(7日、東京ドーム)に臨むことになった。何とも不安の残る状態ながら、その一方では希望を抱かせる材料も…。トランプ米大統領のおかげ?で1次ラウンドでの最大のライバル・キューバの状態が「最悪」だというのだ。

 WBC本番を目前に控え、キューバ代表が弱体化を露呈している。

 7日に対戦する日本戦に向けての「予行演習」と位置付けられていた5日の西武戦に0―5の完封負け。試合前の練習で主砲・デスパイネ(ソフトバンク)がボールを肩に当てて先発を外れたとはいえ、野上、武隈、田村、小石、野田、増田という西武投手陣の前に散発7安打の惨敗だった。

 キューバ代表は大会前の実戦を1勝5敗1分けで終え、侍ジャパンの2勝3敗を下回るひどさだが、侍関係者は「この成績だからといって“安パイ”とは言い切れない。死んだふり作戦の可能性も捨てきれない」と疑問視する。というのも、これまでキューバは国際大会では勝つために“何でもあり”で試合に臨んできたからだ。

 サイン盗みや二塁走者のコース伝達などは当たり前。2009年の第2回WBCでは第1ラウンドのオーストラリア戦で先発オーダーを交換した後、打順を変更。登録外のメンバーをベンチに入れるなどやりたい放題で、勝利のためには手段を選ばない。ちなみに同大会の第2ラウンドでの対戦では、松坂がキューバのこの走者の打者への伝達行為を逆手に取り、捕手・城島の構えとは逆に投げて翻弄。6回無失点で勝利を収めた。

 実際、マルティ監督は「試合には負けたが、強化試合を経てチームのレベルを上げるのが最終目標。(WBC初戦に向け)それはきっちりできている」と強気の姿勢を崩しておらず、本番で一変する可能性はある。

 とはいえ、今回ばかりは本当に弱いとの見方も根強い。今大会のキューバは実力選手の相次ぐ亡命もあり、セペダ(元巨人)やデスパイネを除けば若手中心の「国内組」で、チームの「覇気」がないのだという。キューバ代表に同行する関係者は「長過ぎる調整」による蓄積疲労を指摘する。

 キューバは2月中旬から台湾合宿を行い、その後2月下旬に韓国に移動。練習試合を経て、1日に来日した。この日程に一部選手が不平不満を漏らしている。

「すでに台湾での代表合宿が始まって約20日が過ぎ、練習試合も5試合以上をこなした。この過酷な日程で選手も疲労が蓄積しています。気候も台湾は温暖で暖かかった一方、韓国は気温1桁台の真冬並みの寒さだった。韓国はドーム球場での試合だったとはいえ、こうした過程で調子を落とした選手が多い」とは前出の関係者。さらに食事も口に合わなかったという。

「台湾や韓国では普段食べていないものが提供されることもあって、戸惑うこともあった。こうした複数の問題が重なり、かなりストレスがたまっているのです」(同)

 そんなキューバ選手たちにさらなる追い打ちをかけているのが、排他的な政策を掲げるトランプ政権の誕生だ。

 キューバはオバマ政権下の米国と2015年7月に国交を回復。以後は両国での関係改善が急速に進んでいた。ところが「アメリカ第一主義」を提唱するトランプ大統領が就任すると、両国の雪解けムードは再び微妙な状況に陥った。今後の展開次第では、再び敵対関係に逆戻りする可能性さえある。そうなれば、キューバの有望選手はこれまで以上に米国への亡命、メジャーでのプレーが困難になりかねない。

「キューバの選手はWBCや国際大会で活躍し、実力をアピールしてメジャーに行く。この目標があったからこそ、みな目の色を変えて国際大会の試合に臨んでいた。しかし、トランプ大統領はすでにキューバ人の亡命も徹底的に取り締まる構えを見せています。このままではこれまでのエージェントを使った、ほぼ確実に米国に入国できる“黙認の亡命”すら認められなくなる。そんな事情もあって、今回キューバ選手のモチベーションが上がっていない」(同)

 複雑に絡み合うマイナス要素によって弱体化が進むキューバ代表。侍ジャパンは今大会、この「追い風」を生かしたいところだが…。